天使になれない

April 27, 2008



大学1年4月





中学2年の時、後頭部をいきなりトンカチで殴り続けられるような突然の頭痛から、
良性脳腫瘍のわかったSｸﾝ。。。


「幸い、何の影響もない脂肪腫です。
ただし、腫瘍が成長して脳の他の部分を圧迫することで何かが起きることがあります。
例えば突然、ミカンを皮ごと食べるとかの、明らかにおかしな行動を取るとか、
突然倒れるとかです。
でも、そういうことがおきない限りは、問題はありません。」


つまりそれって「死ぬまでは、生きています！」と言われるのと同じくらい、
どうしようもない、ただ傍観してろってことで・・・。。。でも、良性で良かったです。


それからは、どうか何も起きないようにと祈る思いで、年に一度、MRIを撮ってきてました。
そして5年の月日が流れました。

「どうやら成長する様子もないようだから、もうしばらく来なくてもいいですよ」
と言われた去年の冬、どんなにホッとしたことでしょう。




また、あれは一昨年の冬。
なんだか最近、人格が荒れているし、顔つきもどす黒くおかしいなと思っていたら・・
突然、頭の中で会議がする、と言い出し、部屋中に意味不明の落書きをしたSクン。


秘密会議

ヴィジョン

会議の風景


もしかして腫瘍の影響ではと心配して検査をしたが、
関係ないとのこと。

処方された薬を飲むことで、薬を飲んでいる間は人格も元通り、顔も白く戻ったSクン。
でも病名がつかない。

しばらくして、薬も飲まなくても良いと言われ・・・様子をみて・・・
検査もしたけれど、てんかんとか鬱病とか、色々病気があるのに、
そのどれでもないと言われ、最終的には、
「限りなく個性的」という診断（？）で、
こちらも、もう病院に来なくても良いと言われたのが、去年。



そんなSクンも、4月から大学生になりました。
朝は6時に起きて、お風呂に入り、朝ご飯もきちんと食べて、おにぎり2つ持って、大学へ。
クラブは茶道部。
異様に記憶力が良いので、茶道の手順や決まり事も一度で覚えてしまうので、向いているらしい。


授業でも、例えばドイツ語の第一回目の講義で。
いきなりドイツ語に入るのではなくて、ドイツの文化や芸術について、
一人ずつ、何かしら質問をされたらしい。
Sｸﾝは、グーテンベルクの絵を見せられて、その人の名前と業績について説明しなさい、と言われたのだが、歴史オタクの知識が役立ち、事細かに話して感心されたらしい。

つまり、大学の授業はとても楽しんでいるらしいし、頑張っています。


頑張るのはいいけれど、やはり、時々、様子がおかしい。
例えば、最初に友達になった女の子が気分屋さんで、
その子の機嫌の悪い時は、Sｸﾝも不安定になり、私に電話とメールをしまくり。。。。

私はカウンセラーか人生相談相手か・・・Sｸﾝの相手をするのは、本当に大変なのです。



また最近は、新しく友達になった女の子と、なんか色々話が弾んでいるようで・・・
昨日は夕飯の時に、それがうれしくてうれしくて、ニヤニヤしている。
ただニヤニヤではなく、激しく両手をこすり合わせ、揉み手をして笑っている。
たぶん、手のひらから、気のようなものが出過ぎて、無意識にそんなしぐさをしてしまうのかも。


「彼女とドイツ語のクラスが一緒で隣の席なんだけど、
隣の人とペアで発音練習をするときに、
一生懸命、でも恥ずかしそうに発音する顔がとっても可愛いんだ」

なんてなことを食事中に平気で言う。。。
それを聞かさる方は、いきなり口の中の食べ物の味がしなくなる。
そういう話は友達とすればいいのに・・・・


でも、そんなにうれしそうにしているくせに、
箸が滑って掴んでいたおかずがテーブルに落ちたら、
それだけで激怒。立ち上がって自室に行ってしまう・・・


見ているだけでとても疲れる。
大人になるにつれてもっともっと様子がおかしくなっていくのだろうか。


なんともない普通の時もあるけれど、そういうおかしな時もあるから、
やっぱり薬を飲んだ方がいいんだろうか。




駅とかで、様子のおかしな人を時々見るけれど、
前は、ただ気味悪くて迷惑なだけだった。

でも、今は、ご家族の気持ちを思うと、胸がつぶれそうになる・・・・
見ず知らずの人たちの前でもそんな姿をさらして迷惑がられている我が子を思い、
一体どれほど胸を痛めていることだろうかと。