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風色の本だな

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2004年10月26日
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カテゴリ:私の愛する本たち
いちょうライン

街路樹の葉も少しずつ色づいて
日一日と秋が深まってまいりました。

今日は・・・冷たい雨が降っています。

我が家には、中3の娘と高3の息子がおりますが
受験生が二人もいると、この時期、なんだか落ちつかないものですね。

さて、台風の爪痕が生々しい内に新潟県中越地方の地震・・・。
自然の驚異をあらためて見せつけられたような気がします。

多くの犠牲者が出てしまい、ライフラインが断たれ
先の見えない不安感に襲われて
さぞかし辛い思いをなさっていることと思います。

被災者やご家族の方々には、心よりお見舞いお申し上げます。

先日、友人が我が家に一冊の絵本と1通の手紙を届けてくれました。

それは、友人がその友人に託されたもので、封筒を開けると
中にはびっしりと温かい文字が書かれた便箋が4枚と
2枚の新聞の切り抜きが入っていました。

届けてくれた友人の友人とお会いしたのはたった一度きりで
私はしばらくこんなに長い手書きのお手紙をいただいていなかったので
わざわざ私のような者に・・・と痛く感動しました。

手紙の冒頭には、桂信子さんの俳句が書かれていました。

「りんご食み あはれなる身を いとおしむ」 桂信子

そしてこんな風に綴ってありました。

りんごがおいしい季節になりましたね。
すっぱい紅玉が好きで、食べるたびにこの句が思い出され
あわれな気分にひたって、くすっと笑ってしまう私です。

おひさしぶりです!
ドン・ジョバンニでごいっしょさせていただいた○○○○です。
(あだ名はえびちゃん)

私は桂信子氏に“あはれ”という意味の深さを教えてもらい
日本語って美しいと思うようになりました。

・・・・・中略

実は友人の娘さんの絵本を紹介したくてお便りしました。

内容があまりにも私と重なるところがあり
私は胸がいっぱいになってしまうのです。

・・・・・省略


今日はこの『ひろいそらのしたで』という絵本を
ぜひ皆さんにご紹介したいと思います。

ひろいそらのしたで


◆『ひろいそらのしたで』Under the wide open sky
長内りえ 作・絵/Paramita Basu 英文翻訳/原書房/2004年6月25日 第1刷


この絵本の作者である長内りえさんは、昨年3月、
取材で訪れていたアルゼンチンで26歳の若さで他界されました。

高校を卒業後、中央美術学院に学び
授業の課題として制作されたものですが
この度、葉祥明さんが作品に目を留め賞賛したことで
原書房より出版されました。


「長内りえさんの美しい色彩と伸びやかなタッチで描かれた世界の
この上ない豊かさはどうだろう!
これらを見ていると、生前の彼女が、いかに、
生命力に満ち満ちていたかがよく分かる。
そして、彼女が生きることをどんなに楽しみ、
誰よりも人生を愛し、この世界を愛し、幸せだったか、
残された多くの作品が雄弁に語っている。
彼女の笑い声や笑顔が、今でも聞こえてきそうではないか!」

― 葉 祥明


青山学院大学名誉教授で英米児童文学の研究者、
評論・創作・翻訳など多様な分野で活躍中の神宮輝夫さんも
以下のように記事にしています。


物語貫く「共に生きる喜び」

なによりも、絵にひきつけられる。

お話は「ぼくはとべないとり」と、そっけないほどに短い文ではじまるが、
それに対応する絵も、赤道付近の生まれを思わせる
オレンジ色の鳥が1羽だけ描かれている。

ところが、この鳥が実に個性的で印象的。

彼の友人の猫は名前を「むぎ」という。

とべない鳥が花を掲げて先頭にたち
その後を青銅色の猫「むぎ」がついていく散歩姿がまた
ユーモラスで、しかも堂々たる存在感を持つ。

とべない鳥は、友だちの「むぎ」と一緒に大木の枝に止まって
雨宿りしながら
「そらをとべないことより、ひとりぼっちでいることのほうが
ずっとこわかった」と話す。

大木は力強くどっしりと立ち、降る雨は細くやさしい。
鳥も猫もやさしさに包まれた、安心な世界にいる。

雨が止んで出来た水たまりに映る青空は
猟銃に打たれて飛べなくなった鳥の思いでを誘う。

―大空を自由に飛んでいたときの姿、鳥瞰図的に眺めた大地の様子
幸福感を心に描きながら見上げる空と白い雲と緑と鳥たちには
圧倒的な迫力がある。

本として、手に持って読んでも迫力があるが
少し離れて眺めたとき、空を飛ぶ喜びや
遠い山並みまでひろがる広々とした大地
そして吸い込まれそうな青空の深さが、改めて実感できる。
すぐれたタブローだ。

だから、一見つながりのない絵が簡単な物語に沿って並べられ
それぞれが勝手に物語しているのだが
それが全体の大きな物語にきちんとまとまっているのは
「すべての人が、共に生きる喜び」
というテーマにつらぬかれているからだろう。
物語が日本語と英語で語られているのも象徴的・・・・中略

この絵本は授業の課題として制作したのだという。
天性の才能を感じさせられる。・・・・略

― 青山学院大学名誉教授 神宮輝夫


私は・・・この絵本をそっと手にとり眺めてみる。

「ぼくはとべないとり」

オレンジ色のその鳥は、飛べない鳥なのに
なぜこんなにも幸せそうな目をしているのだろう?

「ぼくにはむぎというともだちがいる」
そうなんだね。ひとりぼっちじゃないんだね。

水たまりにうつる空を眺めて、昔のことを思い出す。

飛べない鳥は、心も身体も傷ついているからこそ
共に生きる喜びや幸せを誰よりも知っている。

長内りえさんの絵には、いつまでも飽きることなく眺めてしまう
不思議な魅力を感じます。

ゆっくりと、声に出して読んでいると
じわ~っと温かい涙がにじんできました。

今では広い空の上にいらっしゃる、りえさん!!

幸せと希望に満ちた素晴らしい作品を私たちに残してくださって
本当にありがとう!!

貴女がこの世に生を受け、生きていた時間は
わずか26年というあまりにも短い時間だったけれど・・・
貴女が残した作品は、私たちに“豊かさ”と“希望”と“幸せ”を
与えてくれました。

貴女は私たちの心の中に確かに生き続けているのですよ。

縁あって、このHPにアクセスしてくださった皆さん!

どうぞこの絵本を手にとって読んでくださいね。

えびちゃん!!素敵な絵本とあたたかいお手紙をありがとう!

この絵本、図書館でも予約待ちになっています。

りえさんのお母さまや妹さんに、くれぐれもよろしくお伝えくださいね。

いちょうライン






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最終更新日  2004年10月26日 16時30分12秒
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