汁椀に茶を注ぎ、すすりながら、小食のあとの静かなときを楽しんだ。断食を終えて、あったかな11月の陽に包まれているのは、至福に値するというものだ。揺れる茶に、空の青が映っている。手前のゴツゴツとしたものはなんだ、と一瞬凝視した。なぁんだ、この顔かぁ。こんなふうに見上げるような角度の自分を知らなかった。テカテカと光る額は岩だ。奥まった眼窩は岩陰になり、そこから眉毛がひょろひょろと伸びてまるで水がなくても育つ不気味な植物に見えてきた。無骨な風景だ。美しいという形容からはおよそほど遠いけれど、たくましい。力を感じた。見ていて飽きない。飽かずに見ていると、いつか行ってみたいと思っているセドナが浮かんできた。きっとこういう風景が広がっているんだ。青の空に突き出た岩、岩。その狭間でぼくは、乾いた大地に寝っ転がって、見上げている。そのとき、どんな気分なんだろう。地球なんて汁椀みたいなもんだ、なんて笑いながら、断食道場をなつかしく思い出しているのかもしれないな。
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Last updated
Nov 19, 2007 03:35:43 PM
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kazesans
風の吹くままカメラマンのこころの旅日記
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