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Nov 20, 2007
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 かさかさになりし心の真ん中へどんぐりの実を落としてみたり

 約束があって生まれて来たような気持ちになって火を吹き起こす

 埋没の精神ですよゆったりと糸瓜は蔓にぶらさがる



 
 愚静庵の本棚には、庵主の静栖さんの蔵書なのか何冊もの心惹かれる本たちが並んでいる。一日中念仏や瞑想を繰り返す日程の中でゆっくりと手に取る時間はなかったが、その中の山崎方代『こんなもんじゃ』が目にとまった。表紙のイラストが好みだったからだが、帯には「妻子がなくても寂しくない、地位も名誉も欲しくない、金がなくても不満はない」というのに添え「方代さんふうに生きてみませんか」などと書いてあって、中をのぞきたくなった。

 方代さんは昭和の歌人。戦争で右目を失明、左目の視力は0.01となる。生涯独身、定職を持たず、世話する方の敷地内で小屋のようなところに住んだ人。ネットで調べると、放浪の歌人、異端の歌人、奇行が多くたわいもない嘘をつき続けた伝説的歌人という形容があちこちに見られる。1985年に亡くなった。



 
 いつまでも転んでいるといつまでもそのまま転んで暮らしたくなる

 洗面をおこたりおれば眼のへりのあたりに青いカビが生えてきた

 冷えて来てねむれないので風呂敷をかむりて顔をくるんでしまう




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 帯の言葉がもどってきた。「方代さんふうに生きてみませんか」、とは、どういう意味だろう。なになにふうに、という場合、それはスタイルを真似することか、それとも心持ちを合わせることか、などと考えてみたが、方代さんふうに生きられるはずなんかないじゃないかと思ってしまう。方代さんが亡くなった20年ほど前は、いまと大して変わらずあくせくとせちがらく、ばたばたと慌ただしく世間の時間は過ぎていただろうに、そこに居て、呼吸して、茶をすすり、眠り、歌い、好き放題に死んでゆくなど、簡単な話ではなかっただろう。それは方代さんしかできなかった人生だ、心だけ方代さんふう、などあり得ない、と決めつけた。


 
 卓袱台の上の土瓶に心中をうちあけてより楽になりたり

 ときのまに死ねば死ねると云うことのかかるおごりを持ってぞ生くる

 このようになまけていても人生にもっとも近く詩を書いている



 ああ、また念仏と瞑想の時間だ。早朝の4時にはじまり就寝の8時まで、一日の10時間あまりを仏の前に座って過ごしている。ここは自ら選んで来た場所だ。それなのに強制されて座っているような辛さを感じつづけている。瞑想とは内側を見つめるためにあるだろう。それなのに外の環境ばかりに気を奪われている。ぼくは「いつまでもそのまま転んで暮らしたくなる」。神に願わなくても、転んだままで、いいではないか。





 









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Last updated  Nov 20, 2007 10:10:45 PM
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