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Nov 21, 2007
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カテゴリ:こころの森


   

 なんで文章なんか書くんだろうと、ふと不思議に思った。

 私的なことをあっさりと公開している田口ランディさんがそれをご自身の芸風だと書いているのに出会って、生きている体験と書くことの間に適度な距離を置きながら、しかも両方ともがランディさんなんだと思って、面白く感じた。作家と同じにように考えることはできないが、ぼくも自分なりにまじめに書いて、そしてそれを楽しんでいる。でも、なんで文章なんか書くんだろうか。

 1年前のあの夜、毎日のようにやりとりしていた友が逝った。深く心を通わせた人とのはじめての死別の中で、もうなにも考えることができなくなった。今にして思えば、感情という機能が止まってしまったような気さえする。生きて会えない、その意味がわからなかった。寂しいとはどういうことだ。哀しいってなんだ。なにをどう感じていいのかわからなくなった。それが永遠の眠りについた友の病室に入った瞬間、そこに確かな現実があるはずなのに、自分が自分とその場から離れてゆくのを感じていた、ような気がする。どうにもわからなくなっていた自分が、わかったような自分になった、のかもしれない。


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 冷たくなってゆく友の手を握りながら、共に悲しむ友らと抱き合って泣きながら、そうしている自分を少し離れて見ている、どこか冷ややかとさえ思う自分がいた。迫真の演技でドラマを演じている、と言えば、近いかもしれない。そしてその数日後から、毎日のように文章を書き出した。ふんだんにあった友との時間を埋め合わせるようにして。

 それは、寂しさを紛らわせたり自分を保とうとする行為だったのかもしれない。身の回りをていねいに見つめることができると、書くことの効用を誰かに伝えたかもしれない。でもやっぱりほんとうのところはわからない。なんで文章なんか、書くんだろう。ランディさんは違うところで、動転してたら文章なんか書いてない、というようなことを書いていた。ぼくはきっとまだ、ほんとうには動転したことがないんだろう。文章を書いている気持ちの余裕があるのだとしたら。

 文章、書く言葉、それらは心ではないところで表現している。または心のことを、頭で置き換えている。生きるということは、心で感じているような気がするのに。文章なんか書かないで、友の死とひとり静かに向き合っていたらどうなっていただろうか。それを想像すると、書くことの意味が少しはわかってくるかもしれない。
 






 








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Last updated  Nov 21, 2007 08:48:37 AM
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