鎌倉幕府第八代執権(将軍補佐)の北条時宗を開基(寺院創設)、寺号(じごう)の<円覚>は、
寺地決定後、この地より円覚経の納められた石櫃(せきひつ)が掘り出されたことによるという。
<円覚>とは、円満で明らかな仏の悟りを意味するようだ。
惣門 三門 仏殿 方丈
寺域の外郭に設けられた門を禅宗では惣門(総門とも書く)というが、
円覚寺惣門を入ると鬱蒼とした樹間に、
三門(山門とも書く)・仏門・方丈が縦一列して配置されている。
何度も大火にあって創建時の姿は知りえないが、
それも往昔の伽藍配置の面影を今に伝えている。
円覚寺には選仏場(せんぶつじょう)と居士林(こじりん)があり、
選仏場は座禅修行によって悟りに到らしめる道場であろうか、
居士林は在家信者のための座禅道場で土日座禅会・学生座禅会がおこなわれている。
創建以来、多くの高名な来朝僧やわが国の禅僧が住持した。
それら高僧の墓所に建てられた小塔、
あるいはそれを守る小庵 が造られ<塔頭>(たっちゅう)と呼ばれ、
のちに転意して、小寺院すなわち子院を意味する様になった。
往時には40余の塔頭があったというが現在は18の塔頭を数えるに至った。
仏日庵(ぶつにちあん) 黄梅院(おうばいいん)
広い寺域には点在する塔頭で拝観できるのは、
開基北条時宗の廟所で、鎌倉観音霊場の三十三番札所の仏日庵(ぶつにちあん)と
黄梅院(おうばいいん)などで、多くはない。