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BIZ粋 ★人生をイキイキと粋に★

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2008.12.29
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2008年の経済不況と日本経済初の労働市場での試み

 2008年の秋、急激な経済環境悪化で、労働市場において、問題が
毎日のように報じられています。いわゆる、「派遣切り(正確には
製造派遣)」(以下製造派遣と言います)というものです。
 この問題を語るのには、10年は遡っていく必要がありそうです。


●日本は「労働社会主義」の国

 日本の労働法では、正規雇用(正社員)の労働者をそうは簡単に
解雇(クビ)にできません。いくら企業業績が悪かろうとも倒産する
可能性があるという段階までできないのです。それでは、経営に
おいて遅すぎます。立ち直れないというところまでいかないと、
解雇ができないのです。企業業績がどれだけ悪くなり、株価も下が
ろうとも、解雇という人員整理ができない法律なのです。

 
●バブル崩壊を経験した日本の今
 
 そんな労働社会主義の国で、人員整理が可能なのは、希望退職を
募るということです。
 希望退職は、正規雇用の労働者を「整理」できるものですが、
あくまでも「解雇」ではなく、自ら退職してもらうものです。
希望を募る時に退職金の上乗せなどの出費を増やして、
整理するわけですが、しかし、会社として不必要な社員ではなく、
必要な社員がどんどん流出することになります。
 必要な社員とは、その会社で必要ではありますが、イコールどこの
会社に行っても通用する労働者です。辞めて欲しい人材というのは、
他社にいって活躍できる可能性が低い労働者です。
 希望退職で経験したのは、必要な人材の流出だったわけで、
数年後の企業経営を考えた時には、全くマイナスの方策だったという
ことです。
 アメリカでは、(という言葉が大嫌いなんですがあえて)企業業績の
一時的な後退で、労働者を解雇できるレイオフの制度があります。
企業が潰れるとその企業だけでなく、その企業がある街、下請けの会社
など連鎖的にダメージを受けことを避けるためにあるものです。
 日本でバブル崩壊後、非正規社員が増えたのは、日本の労働法制の
環境下で法律を掻い潜って、アメリカのレイオフのように、合法的に
人員整理を「行なえる企業環境にできるという、「備え」からです。


●日本経済史上の試み
 バブル崩壊後に増えた正規社員。今や労働者の30%が非正規社員と
なっているのです。この意味が初めて分かることになったのが、この
経済環境の悪化であり、今回の製造派遣切りです。
 
 この意味は、日本の経済史上で非常に大きな意味を持つものだと、
私は思っています。

 バブル崩壊後、製造現場の労働者を非正規社員に切り替えてきたのは、
販売量が減り、製造量が減れば、仕事もなくなり、仕事がないのに、
働かない労働者を抱える事ができない、製造量が減れば、人も減るという
経済活動において、合理的な発想からです。

 今回対象になっている人たちには、気の毒だと思います。しかし、
そうしなければ、企業だけでなく日本の国自体が深刻な経済状況になる
のです。配当を出した、それを雇用に回せという主張をする人たちも
いますが、今以上に企業業績を赤字を拡大させ、株価を低下させてまで、
仕事もないのに人を雇用して、どうしようというのかと思います。 

 今回の人員整理で、日本でも需要に応じて、雇用調整ができるという
仕組みになったという、大きな意味を持つことが分かったのです。

 
●変動費、固定費の考え方

 経営においては、損益ということは大切なことです。
製造派遣の契約切りで批判されていますが、じゃあ会社を赤字にして、
企業経営者は、何を賞賛されるのでしょうか?
 これから5年は不況が続くでしょうが、その後の好景気にはまた、
雇用すればいいのだと考えています。

 経営の数字として、売上高→売上原価→粗利益→費用→利益
というものがあります。
 売上高が下がれば、売上原価も下がります。これを変動費といいます。
 費用の中には、売上が下がれば減るものと、下がっても減らない
ものがあります。下がらないものの一つに人件費があります。
 人件費は、「固定費」の代表的なものです。
人件費が10あれば、粗利益が30でも10でも、10は必ず発生します。
 つまり、利益がどうなろうとも変化できない、赤字になるのを待た
なければならないのが、人件費になることもあるわけです。
 それの人件費を変動費化しようとしたのが、バブル崩壊後の非正規化
になります。バブルの経験から、将来また来る不景気に備えるのが、
非正規化だったのです。人件費の一部変動費化に成功したのです。
生産量が減れば、仕事がなくなり、人も不要となる。そうなれば、
契約を打ち切るということです。
(今起こっている契約の途中で切られるのは問題でありますが)
 変動費化することで、損益分岐点を下げ、景気に柔軟に対応できる
ことになったのです。     

 批判をする新聞やテレビなどメディアが、契約を切られた人々を
採用すればいいではないか、と思います。そもそも、朝日新聞などの
メディアでも赤字に見舞われるなど、企業経営が危ういのですが。


●だから、キャリア開発

 気の毒と言っていられる場合ではない。
 製造派遣を選んだ人たちは、それがキャリアへの自己責任になります。
しかしながら、事務職であっても同じです。仮に、人員整理にあっても、
希望退職を募られても、どこに行っても通用するキャリア開発を
自ら行なう事が必要です。
 キャリア開発とは、何も資格をとったり学歴を高めるだけでは
ありません。究極は世の中で「希少価値」のあるキャリアであれば、
いいわけです。「あいつじゃないとだめだ」と思われるようになれば、
いいわけです。それは、人が嫌がったりやろうとしなかったり、
難しかったりするものです。
 必要以上に短期間で転々としていては、そんな希少価値を高めること
はできないでしょう。学校の勉強が嫌だったといっても、仕事を通じて、
自らの能力を高めることは、逃げられない。逃げれば、経済的弱者と
なり、不安、不安定な生活を送ることになります。
 自分しかいないとか、希少価値の高いキャリアを自ら開発していく
ことは、自分の夢とかそんなものだけではなく、生活を守ることに
繋がっていくのです。

 どうしたら、キャリア開発できるのは、いま直ぐに考えたいものです。


●だからいつも知恵働かせよう

 自動車メーカーが雇用してきた「期間従業員」という仕組みは、
工場の近くに宿舎を用意してそこに住んで仕事ができます、という
ものです。そこに行く条件では、「期間限定」であり、元々住んでいた
実家などから転居が必要な仕事とわかって、そこに働きに行くわけです。
 それを住むところがないというのは、あらかじめ分かってこと
でしょうと言いたいわけです。製造でなくても、会社を辞めるときにも、
寮に入っていれば、退去期限が設定されています。

 筆者は、若く、まだキャリアもなく年収300万円に満たない頃、
家賃8万、残りで食費などを払い生活し、それでも毎月、雀の涙ほど
でも貯蓄をしていました。いま、できるだけ我慢して、将来必要に
なった時のためにチビチビと貯めていたのです。
 
 今、どんなに貧乏だと言っても、必ず携帯電話を持っている。
携帯電話ほどの贅沢で娯楽品はないと思います。無くたって生きていける。
生存に必要な最低限の衣食住に何ら関係のないものだと思います。
 筆者が当時勤めていた会社の業績が悪く、年収が減った時には、
携帯電話を解約し、外食をやめ、弁当を持ち、お茶を沸かして持っていき、
夕方スーパーマーケットに行き、割引になった食材を買い、その食材に
よってメニューを決めていたものです。

 今でこそ携帯は持つようになり、こうやってパソコンでブログも
書けるが、それまでには、節約するために知恵を働かせたものです。
 日本の古き良き時代の「知恵」を絞れないほど、日本は堕落して
しまったのでしょうか。


●政府の失業者対策
 
 とはいっても、政府は、緊急で住居などを用意すべきだと思います。 
 新たな公共事業を計画し、そこに雇用を創出していけばいいのでは
ないか。「平成のニューディール政策」です。
わけのわからない一律のバラマキを辞めて、そこに当てればそれはまた、
日本の政治史上でいい政府だったと言えるのではないでしょうか。


●労働法制のあり方
 
 政府は、今後、非正規社員という制度を禁止して、雇用は全て
正規社員のみ、という法律を制定することもできるでしょう。
(経済界の相当な反対が出ますが)
 それをやるには、労働集約型の仕事においてレイオフを可能にする
などのことが必要でしょう。そうすれば、雇用は守れるでしょう。
 ワークシェアが再び話題になっていますが、私は反対です。
能力が高い人も低い人も一緒くたにすれば、能力が高い人の流出や
やる気の低下につながります。それは、製造国日本の品質の低下に
繋がります。

 いずれにせよ、雇用を守るが、調整もできるということが必要に
なります。


●まだまだ落ち込む
 今日は、2008年12月29日。まだまだ、景気は冷え込みます。
もっと失業者は出てきます。ネガティブシンキングに入ってますます。
 また、デフレスパイラルに入ると思います。そうなれば、また5年は、
景気が冷え込むでしょう。

 株を買う人はこれからいいですよ。5年経ったらかなり上がります。
それくらい長期的視点を持ちながら、今を着実に進んでいく必要も
あります。

 なるようにしかならないので、自分がいま何をすべきか、冷静に考え、
粛々と行動して進んでいくしかないのです。


以上





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Last updated  2008.12.29 23:28:24
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