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カテゴリ:名言・名文
おお「船長」、わたしの「船長」よ おお「船長」、わたしの「船長」よ、われらが恐ろしき旅は終わった、 船はあらゆる危機を乗り切り、念願の宝も手中に収めた、 港は近く、鐘の音が聞こえ、人びともこぞって歓声をあげ、 目ではどっしりした竜骨を、大胆不敵でいかめしい船体を追う、 されどおお、心よ、心よ、心よ、 おお、したたり落ちる赤い雫よ、 甲板の上にはわたしの「船長」が、 今はすでに息絶えて冷たく。 ウォルト・ホイットマン (『草の葉 中』岩波書店) O Captain! My Captain! O Captain! my Captain! our fearful trip is done, The ship has weather'd every rack, the prize we sought is won, The port is near, the bells I hear, the people all exulting, While follow eyes the steady keel, the vessel grim and daring; But O heart! heart! heart! O the bleeding drops of red, Where on the deck my Captain lies, Fallen cold and dead. Walt Whitman (the Leaves of Grass) ウォルト・ホイットマン (Walter Whitman) はアメリカ合衆国の詩人、随筆家、ジャーナリスト。 アメリカ文学において最も影響力の大きい作家の一人でもあり、「自由詩の父」と呼ばれる。 生涯をかけ代表作『草の葉』の増補改定を続けた。 ホイットマンは A Broadway Pageant(ブロードウェーの華麗な行列)に続き2回目の登場。 彼の詩は、力強く、何故か心惹かれる。 元々は"MEMORIES OF PRESIDENT LINCOLN"「リンカーン大統領の追憶」との題名だったようだ。 < われらが恐ろしき旅は終わった、 船はあらゆる危難を乗り切り、 念願の宝も手中に収めた > とは 南北戦争という内戦を乗り越え、奴隷解放を成し遂げた、という事。 Captainはリンカーン、The shipはアメリカ合衆国。 内戦という苦しい旅路をくぐりぬけてきたのに、暗殺によって亡くなってしまった。 今回の詩はその悲しみを詠ったもの。 『おお「船長」、わたしの「船長」よ、』という日本語より、 『O Captain! My Captain!』の原文の方が数段小気味好い。 自らの国の大統領をマイ キャプテン と呼ぶ感覚がすごい。 それだけ思慕が深かったのだろう。 敬愛されるリーダーがいないからなのか?!日本ではありえない。 『いまを生きる』(原題:Dead Poets Society)という映画にも引用され、 印象的だったのを覚えている。 この映画、大好きなので今度、ご紹介しますね。 おお「船長」、わたしの「船長」よ おお「船長」、わたしの「船長」よ、われらが恐ろしき旅は終わった、 船はあらゆる危機を乗り切り、念願の宝も手中に収めた、 港は近く、鐘の音が聞こえ、人びともこぞって歓声をあげ、 目ではどっしりした竜骨を、大胆不敵でいかめしい船体を追う、 されどおお、心よ、心よ、心よ、 おお、したたり落ちる赤い雫よ、 甲板の上にはわたしの「船長」が、 今はすでに息絶えて冷たく。 おお「船長」、わたしの「船長」よ、起き上がって、いざあの鐘を聞きたまえ、 起き上がるのだ――旗があなたのためにはためいている―― らっぱがあなたのために鳴っている。 あなたのために花束もリボンをかけた花輪も ――あなたのために渚は人で埋まり、 あなたの名前を人びとは口々に呼び、群れ全体が揺れ動きつつ、 火照った顔をいっせいに振り向ける、 さあ「船長」、愛する父よ、 この腕をどうかあなたの枕として、 きっと何かの夢なんですあなたが倒れ、 息絶えて冷たく横たわったのは。 わが「船長」は答えず、唇は青ざめて動かぬまま、 わが父はわが腕に触れず、脈搏もなく意志も示さず、 船は恙なく錨をおろし、はや船旅も終わりを迎え、 恐ろしき旅から目的を遂げてようやく港に凱旋した、 喜ぶがいい、おお出迎えの岸辺たちよ、響きわたれ、おお祝賀の鐘よ、 だがわたしは悲しみゆえに足どり重く、 わが「船長」が倒れて息絶え、 今は冷たく横たわる甲板で行きつもどりつ。 (『草の葉 中』岩波書店) O Captain! My Captain! O Captain! my Captain! our fearful trip is done, The ship has weather'd every rack, the prize we sought is won, The port is near, the bells I hear, the people all exulting, While follow eyes the steady keel, the vessel grim and daring; But O heart! heart! heart! O the bleeding drops of red, Where on the deck my Captain lies, Fallen cold and dead. O Captain! my Captain! rise up and hear the bells; Rise up ― for you the flags is flugs ― for you the bugle trills, For you bouquets and ribbon'd wreaths ― for you the shores a-crowding, For you they call, the swaying mass, their eager faces turning; Here Captain! dear father! This arm beneath your head! It is some dream that on the deck, You've fallen cold and dead. My Captain does not answer, his lips are pale and still, My father does not feel my arm, he he has no pulse nor will, The ship is anchor'd safe and sound, its voyage closed and done, From fearful trip the victor ship comes in with object won; Exult O shores, and ring O bells! But I with mournful tread, Walk the deck my Captain lies, Fallen cold and dead. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.04.19 10:56:29
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