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2010.11.27
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人を相手にせず、天を相手にせよ。
天を相手にして己を尽くし、
人を咎めず、
我が誠の足らざるを尋ぬべし




西郷隆盛『南洲翁遺訓』



人を相手にしないで常に天を相手にするように心がけよ。天を相手にして自分の誠を
尽くし,決して人を咎めるようなことをせず,自分の真心の足らないことを反省せよ



西郷隆盛
解説は不要の偉人。幕末の志士。薩摩藩士。

『南洲翁遺訓』
旧庄内藩の関係者が西郷から聞いた話をまとめたもの。
薩摩藩関係者ではなく、庄内藩とうところが西郷どんらしい。
東北戦争で官軍に降伏した庄内藩は「薩摩藩邸焼き討ち事件」の遺恨もあり、厳しい処断を
覚悟していた。ところが意外にも西郷が寛大な処置を指示。
庄内藩で西郷の名声は広がり、鹿児島に旧藩士を派遣し教えを受けるなど親交が深まった。
という経緯からのようだ。このあたりは庄内南洲会「南洲翁遺訓の由来」をご参照。
仇ともいえる間柄の人達をして信奉者にしてしまうのだから懐が深い。



人を相手にしないで、天を相手にしなければならない。

天には「空」など多くの意味があるがここでは
「天地万物の支配者。造物主。神。天帝。また、天地万物を支配する理法。」
ということろだろう。「運を天にまかせる」の天。

人間は他人の目を気にして、他人の見ている前では悪いことをしないが、他人が見ていない
とか他人に知られる虞がないとなると悪いことだと感じつつも間違いを犯してしまう事がある。
そこで、他人の目ではなくいつでも天を相手にしておけば悪い事などはできないしまた間違いもない。「天知る、地知る、汝知る、我知る」四知の故事と同じ意味合いだろう。

やはり、「お天道様に恥じない」「俯仰天地に愧じず」ことが大事だ。
それにはいつも天を相手にして自分の誠をつくさなければならない。

うまくいかないのを人の所為にしたりして咎めたりすることはせず、
ただ自分が誠を尽くしているかどうかを反省するべきである。



「天知る、地知る、汝知る、我知る」(楊震が賄賂を断った時のせりふ『後漢書』)
誰も知らないと思っていても、天と地とあなたと、自分自身も知っている。
悪事は、いつかは必ず露見するものであるということ。

「俯仰天地に愧じず」
仰いでは天の神、うつむいては地の神に恥じることがない。少しも恥じる事がない。
俯仰(ふぎょう)天地に愧(は)じず-
(「孟子‐尽心上」の「仰不愧於天、俯不於人」から)




神様というとどうも違和感があるが、天といわれるとすんなり入ってくるから不思議だ。

偽装、粉飾などのニュースが後を絶たない現在。
他人事としてみているだけでなく自分自身を省みて教訓とし、西郷さんのいう様に、
天を相手に生きていきたいものだ。


人を相手にせず、天を相手にせよ。




ちなみに、西郷は佐藤 一斎(江戸後期の儒学者)の『言志四録』を座右の書としており、書き抜きし「言志録 南洲手抄」を作るほどだったという。
その『言志四録』に

およそ事をなすには、すべからく天につかうるの心あるを要すべし。
人に示すの念あるを要せず
 

とある。おそらくこの言葉に影響を受けての言葉だったのだろう。
こちらの言葉もいい!人に示すことなんか不要だ!
この人はこのブログに未だ登場してませんが、いつか登場させるつもり。
「重職心得箇条」などいいかも。




西郷の他の言葉


総じて 人は己に克つを以って成り
自らを愛するを以って敗る



自分の欲望を制すれば成功し、自分本位では失敗する。



道は天地自然の物にして、人はこれを行うものなれば、天を敬するを目的とす。
天は我も同一に愛し給ふゆえ、我を愛する心を以て人を愛する也。




道というのはこの天地のおのずからなるものであり、人はこれにのっとって行うべきものであるから何よりもまず、天を敬うことを目的とすべきである。天は他人も自分も平等に愛したもうから、自分を愛する心をもって人を愛することが肝要である。

これは 西郷の座右の銘ともいえる『敬天愛人』(天を敬い人を愛する)という言葉について。




似た言葉を思い出したのでついでに・・・

夏目漱石が晩年に理想とした境地を表した言葉で、宗教的な悟りを意味するとも、
漱石の文学観とも解されている言葉。

即天去私』(天に則り私を去る)
小さな私にとらわれず、身を天地自然にゆだねて生きて行くこと。
「則天」は天地自然の法則や普遍的な妥当性に従うこと。「去私」は私心を捨て去ること。






 
   
 





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Last updated  2010.11.28 00:58:10
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