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カテゴリ:処世術
年頭自警 陽明学者:安岡正篤 一.年頭まず自ら意気を新たにすべし 二.年頭古き悔恨を棄つべし 三.年頭決然滞事を一掃すべし 四.年頭新たに一善事を発願すべし 五.年頭新たに一佳書を読み始めるべし 『人生信條』安岡正篤 安岡 正篤(1898年(明治31年)-1983年(昭和58年)) 陽明学者・思想家。 昭和歴代首相の指南役を務め、昭和を代表する多くの財界人に師と仰がれた。 「平成」の元号の発案者と私は思い込んでいたがそういう説もあるということらしい。 確か「終戦の詔書」もこの人が草案したと聞いたことがある。 いつもなら超意訳といくところですが、そんな大昔の言葉でもなく、 訳するまでもなさそうなので辞書でひいたものを載せて終わりにする。 当たり前の言葉も敢えて調べてみたので笑わないで下さいませ。 意気・・・事をやりとげようとする積極的な気持ち。気概。いきごみ。 悔恨・・・過ちを後悔して残念に思うこと。 決然・・・きっぱりと決心したさま。思い切ったさま。 発願・・・仏語。誓願を起こすこと。悟りを求める心や、人々を救おうという心を 起こすこと。 年頭にあたりなすべき五つの項目をあげている。 一.年頭まず自ら意気を新たにすべし お正月は誰しも新しい年に当たって心新たにするものだが、 ここでいわれているのは、そんななんとなくのものではないだろう。 自ら奮い起こして、気概を新たにしなければいけない。 “まず”というのは項目の最初という意味もあるだろうが、 これがなければはじまらないということではないか。 次に古き悔恨を棄つべしと決然滞事を一掃すべしとある。 意気が新たに沸きあがろうとも、昨年からの古い後悔に囚われていては次に進めない。 また滞った物事を放りっぱなしでは身動きができない。 徐々に終わらせていこうというような態度ではダメだ、断固としてきっぱりと一掃しなさいという。 一善事を発願すべし、一佳書を読み始めるべし 仏教用語らしいが、ここでは良い目標ということでもいいのではないか。 そして良書を読めで終わる。 ここでは簡単に良書としたが、本当はそんな単純なものではなく下記のような書のこと。 -------------------------------------------------------------------------- 佳書とは、それを読むことによって、われわれの呼吸・血液・体液を清くし、 精神の鼓動を昂(たか)めたりおちつかせたり、 霊魂を神仏に近づけたりする書のことであります。 -------------------------------------------------------------------------- 難しい。 歴史上の人物とは異なり、安岡正篤氏を師と仰ぐ方々の多くはいまだご活躍の中で、 私などが解説するなんて僭越なのだろうが、ご容赦を! 一.年頭まず自ら意気を新たにすべし 今日で三が日もおしまい。お正月気分をダラダラ引き延ばさず。 自ら意気を新たにして行こう! また安岡正篤氏による違う新年の話もあったので、そちらも -------------------------------------------------------------------------- 新年の解 『郷研清話』(財団法人 郷学研修所) 新という字を知らぬ者はない。然し新という字の真の意味を解する人は案外少ない。 元来この字は「辛」と「木」と「斤」との組み合わせである。 辛は努力を意味し、斤は木を斬る「まさかり」、「大を(お)の」であり、これで木をきること、 それから、「斤斤」といへば明らかに見わける、又いつくしむ(慈愛)の意がある。 即ちよく木を愛し育て、それを努力して加工し、新……あらたなものにして活用するといふこと を表すものである。こんな深い正しい意味を知らないで「あたらしがりや」など、目先の変わった、 ものめづらしいということに軽々しく解するのは、とんでもないことである。 本當に新しくするのには大した用意と努力を要するわけで、新人などざらにあるものではない。 年の始に勉強せねばならぬことは、先以って(まずもって)自己をどう維新するかといふことである。(昭和五十一年十二月) -------------------------------------------------------------------------- お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.01.03 13:20:04
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