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テーマ:生き方・人生訓(163)
カテゴリ:名言・名文
「パペ サタン、パペ サタン アレッペ」 "Pape Sat?n, Pape Sat?n aleppe!" プルートン 『神曲』地獄篇第七歌 ダンテ・アリギエーリ 平川祐弘訳 プルートンとウェルギリウス(地獄篇第七歌) 『神曲』からの第三弾。 以前の記事はこちら、 さあ、おまえは怠惰を捨てねばならぬ。 早急に是非を論ぜず、歩みを遅らせるがいいだろう。 冒頭の言葉は、単に印象的な言葉だったから載せちゃったもので、 特に教訓などではないので悪しからず。 訳者の平川氏の訳注によると、 【プルートン】 ギリシャ神話のプルートン(地獄の下層界の神)とプルート(財宝の神)が中世では 混同されていたという。財宝は大地から生ずる富であるから、その神であるプルート は地下の神としても認定されたのだろう。 【パペ サタン、パペ サタン アレッペ】 プルートンの怒りの句だが解釈は諸説粉々で、はっきりした意味はわからない。なお アンデルセン作、森鴎外訳「即興詩人」のアントニオが夢の中でうわごとでしばしば この詞(ことば)をいうことになっている。 ・・・とある。 (この森鴎外訳「即興詩人」で初めて『神曲』という訳が使われたのは前にも触れた通り。) 冥府の神プルートンの咆哮であるこの言葉。il papa santo(聖なる教皇)という語と 関連があるのではないかという説など諸説あり、おもしろい。 このあたりに興味ある方はこちらのサイトに詳しいのでどうぞ! LEGACY OF ASHES(その7) 「パペ サタン、パペ サタン アレッペ」 耳に残る不思議な言葉だと思いません? 怒りの句というより呪いの言葉っぽい!? それではいつものように教訓的な言葉。 「諸君は諸君の生まれを考えよ。 諸君は獣のごとき生を送るべく生を享(う)けたのではない。 諸君は知識を求め徳に従うべく生まれたのである」 オデュセウス 地獄篇二十六歌 地獄の第八の圏谷(たに)にある第八の濠(ほり)。 ここでは権謀術策を事とした亡者が永劫の炎で焼かれているが、その中に二人一組で 焼かれている者を見つけたダンテはウェルギリウスに頼んで彼らから話を聞いた。 彼らはトロイア戦争時ギリシャ側の英雄、オデュセウスとディオメデス。 (訳注によると彼らはトロイア落城の際の木馬をはじめ、数々の権謀術策を二人で 共同して行ったことから一つの炎の中で一緒に焼かれている。) オデュセウスはウェルギリウスの問いに答えて自身の最後の航海の様子をさながら一遍の 劇中詩のごとく謳いあげた。その航海の中でジブラルタル海峡に達した時、 乗組員を鼓舞激励する短い演説をしたという。 (当時はそこが世界の果てであり、人間はこの先にはいってはならぬという印の 標柱がヘラクレスによって建てられているという。 ラ・ラビダの僧院の天井にも「この先進むなかれ」(NON PLUS ULTRA)と 書かれていた。これはコロンブスの航海の後、NONが消され、「先へ進め」に 変えられた。) この演説で、 「先へ先へとはやり立つ彼らを抑えるのにかえって手間どったほどだった。」 というぐらい激しく励ました。 その演説の中の一節。 下記のような訳もある。 汝らは獣のごとく生くるためにつくられたものにあらず、 徳と知識を求めんがためなり 『神曲』の中でなら、平川訳の方が、韻を踏んでいて似つかわしいように思うが、 一文のみを取り出して引用するならこれもまたいい。 ここで「獣のごとき生を送る」とは、危険を避け目的もなく安穏と生きることを いってると思われるが、努力や頑張りもなしにとも取れるだろうし、 目先の楽しさだけを追い求めるような生き方もそうかもしれない。 そうではなく、我々人間は「知識を求め徳に従うべく生まれた」!のだという。 (徳についての解説はなかった。キリスト教において理想とされる性質なんでしょう。 どうしても論語などに出てくるものをイメージしてしまうけど、違うんだろうね。) いつまでも知的好奇心を失うことなく、貪欲に知識を吸収していこう。 知ってる振りをしても何も得にはならない。 部下だろうが、後輩だろうが分からなければ教えを請う事が大事。 そして徳のある人(今では死語だが・・・)を目指すべきだ! 『神曲』の中で、いつか書こうと思って取ってあるのが、この他にもまだあるんだけど、 キリがないので後一回、まとめて載せて終わりにする。 オデュセウスの演説を最後に載せておく。 『諸君』と私は言った、『百千の危険を冒し 諸君は世界の西のさい果てに来た。 もはや余命の長くはない諸君が その短い夕暮の一刻を惜しむあまりに、 日の当たらぬ人なき世界を探ろうとする この体験に参加を拒みはしまいと信ずる。 諸君は諸君の生まれを考えよ。 諸君は獣のごとき生を送るべく生を享けたのではない。 諸君は知識を求め徳に従うべく生まれたのである』 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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