DJ Kennedy/life is damn groovy

Here And Now / Luther Vandross

４度のGrammy WinnerであるLuther Vandrossが1日、ＮＪの病院で亡くなった。５４歳の若さだった。この訃報を耳にし、今日は彼のアルバムを全部取り出し順々に聴いている。次々に流れる懐かしい1曲1曲は、初めて聴いた時の情景や心を思い出させ、コンサートでの彼の姿を甦らせ、ふと、彼がもう私の思い出作りに手を貸してくれない現実に、あとからあとから涙がこぼれた。

彼の持つ独特の歌声には愛が溢れていた。
その声を聴くたび、私をまるごと包んでくれるような温もりを感じることができるのだ。私だけではない、きっと世界中の多くの人が、そのように彼を、彼の歌を愛していたに違いない。

1951年4月20日ＮＹ生まれ。70年代は、コマーシャルソングを歌い、またBarbra StreisandやDonna Summerのバックアップ・シンガーとして活動していた。また、David Bowieに曲を書き、ブロードウェイ・ミュージカル"The Wiz"の音楽も手掛けていた。

その後Changeという名のグループ活動を経て80年代初頭からはソロに転向。91年には、"Power of Love"のヒットでPOPチャートの常連に仲間入りし、ソロ活動の中で2500万枚のアルバムを売る、Ｒ＆Ｂ、ＰＯＰ界のレジェンドとなる。

2003年4月に脳卒中で倒れ、およそ2ヶ月にわたって昏睡状態に陥るのだが、6月2週目に、アルバム"Dance With My Father"がチャート・インすると、同じ週に彼が目を覚ましたという話は有名だ。そして彼にとって初のＬＰはBillboardのPOPチャートNo.1を飾り、翌年グラミー賞を受賞、ビデオで車椅子に座った彼の力のない姿が映し出されると感謝を述べ、スピーチの最後に"Remember,"と語りかけ、こう続けた。

"when I say goodbye it's never for long, because..I believe in the power of love."

あれが、私達が見た彼の最後の姿だった。

彼の才能は、遠ければ遠い程に鮮やかな光を私達に届ける星なのだろうと思うのだ。この世での仕事を終えて天に旅立ってしまっても、ここに残した多くの美しい歌は、今この時間も、そして何年、何十年経っても、きっと彼を知らずに育つ人にさえ優しく語りかけ、傷ついた心を癒してくれるのだろうから。



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