DJ Kennedy/life is damn groovy

　　　　　　　　　　　　


"I'm black"
1992年以降しばらくの間、当時大人気だったトークショー・ホーストの
アルセーニオ・ホールやフレッシュ・プリンスで大ブレイクしていた若き
ウィル・スミス等がよく口にして観客を笑わせていた。

人種の歴史について語るのはややもすると軽率で、容易ではない。
その人種でなければ理解や共鳴をし尽くせないからだ。同じ人種間の
共鳴も、外の世界から見れば理解できないこともあり、けれどそれを
必ずしも「違う人種だから分かれと言うのが無理」と言う解釈は平和を
絶望させる。

どこでもがそう思っていては、国際協調など有り得なくなってしまう。

日本人には日本人の歴史があるように、アフリカン・アメリカンにも勿論
彼等の歴史がある。そしてその歴史の流れの中で積み重ねられた不幸な
出来事は地域によってはまだ根強く残り、長い年月をもってしてもなかなか
払拭し切れないのは悲しい人の弱さだ。

Malcolm Xは1965年2月21日、マンハッタンのオーデュボン・ボールルームでの
講演中「ネイション・オブ・イスラム教団」の教団員3名による銃撃で暗殺された。


　　　　　　　　　　　 　


1992年、Alex Haleyによって書かれたMalcolm Xの自伝がSpike Leeの監督で
映画化された。2時間半に渡る長い映画だが、人種を超えて籍中の人の心を打つ
名作になった。途中、資金不足で制作が中断される事態となったが、NBAレジェンド
Magic Johnson等著名なアフリカン・アメリカンを中心に寄付が集まって完成した。

また、こんな逸話が当時読んだ本に書いてあった。
暗殺犯を演じた3人のうち一人の役者が、Malcolmを銃撃するシーンになるとどうしても
涙が溢れて演技ができずにNGが続き、他のキャストやスタッフも嗚咽し撮影にならず、
翌日撮り直したと言う。

Malcolm XやMartin Luther King, Jr.等、黒人の公民権運動家、そして多くの
人種差別解放を追い求めた人達の志が今の若者達の血にも流れていることを
知り胸が熱くなったことは忘れない。

公民権運動の中で、作者が不明の多くの歌が生まれた。"We Shall Overcome"
（我々は打ち勝つ）などはその中でも最も知られている。また、60年代以降のソウルや
R&Bにも、黒人であることの誇りを歌ったものが数多くある。

明日は彼が亡くなって45年。NYではあちこちでイベントが行われ、彼の功績が改めて
讃えられ、今ある自由を喜び合うのかも知れない。

こうした動きが、正しいかたちで人の心に染み込んで、そうして受け継がれるだろう
という期待が、黒人間に限らず世界の全ての人種間で浸透していくことを、
戸惑いつつも願わずにはいられない。

と、自分の思いに嘘は無いが、どことなく迷いながら、こんな時間になってしまった。

（Malcolm Xについては、こちら。）


　　　





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