160286 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

DJ Kennedy/life is damn groovy

DJ Kennedy/life is damn groovy

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Category

Recent Posts

Favorite Blog

Free Space


AX

March 23, 2010
XML
カテゴリ:Homesick




     Washington 1 010.jpg




Capitolから道を何本か入ったところに友達の寮があり、宿題を終えて
寮を出ると、左手に国会図書館や最高裁判所のてっぺんの部分が見えた。

純白のビルディングが立派な国会議事堂だが、裏の方は閑静な住宅街で
私はお散歩気分で駅までの道を楽しく歩いた。

けれども、15分程経った辺りだろうか、景観が何となく変わってきた。連なる
コロニアル・スタイルの美しい家々はなくなり、小娘がひとりで歩くような
ストリートではないように感じられた。私は足を速めた。

小さなアイスクリーム・パーラーを通り過ぎた辺りで、背後に人の気配を感じた。
この、陽だまりの細い道を歩くのは私と、どうやら後ろにいるらしいその人だけだ。
日頃から用心深い方ではあったし引ったくりには用心していた。が、見慣れぬ場所に
ひとりでいる心細さが身体中に広がり始めた。

そして、その人物は私との間に適当な距離をとりながら、ピューピューと、まるで
鳥でも呼ぶように高らかと口笛を吹き始めた。


Washington 1 006.jpg


次の4つ角に差し掛かると、通りの東からも口笛が聞こえ、20歳くらいの男が
現れた。男は徐々にこちらへ歩いて来ると、私から1メートル程離れた間隔で
私と歩調を合わせて歩き始める。

この2人、グルだ。と思う間もなく、別の2人がまた口笛を吹きながら次の角から
同じように現れ、近付いてくる。

三方を囲まれた。私を狙っているのは明らかだった。空いているのは前のみ。
軽い気持ちで女の子をナンパしようなどという雰囲気には到底思えない恐怖。
けれどここでいきなり走り出したところで、かえって相手を攻撃的にするだけだ。

どうしよう。取り敢えず所持金を思い出し、お財布のお金とカードはとにかく渡す。
万が一拉致された場合にどう逃げよう。武器など持っていたらここで終わりだ。
緊張で身体中が硬直し、額から流れる汗を拭く余裕などあるはずもない。まだ
連中は私を囲んだまま着いて歩くのみで、何かを仕掛けようとする振りもない。
けれども駅まで無事に辿り着くには、きっとどうしたって連中を振り払わなければ
ならないのだろう。かと言って、どう考えてもこの状況では無理だ。

少しだけ諦めかけた時、今すぐ家族に会いたいと思った。ここで私がいなくなったら
両親や歳の離れた弟はどれだけ悲しむことだろう。どんな時も私の自由を尊重して
味方でいてくれる父、いつも私の一番近くで私を幸せへと導いてくれる母、家族から
「神様」と愛される可愛い弟。せめて弟に「パパとママをお願いね」と言いたかった。

その時。

"Hi, honey!"

大柄の20代後半から30代前半くらいの黒人男性が私を見ながら駆け寄って来る。

「よかったよ、約束の時間までまだ1時間もあって、どうしようかと思ってたんだ!」

笑顔でそう言い私の正面に向かって来ると、4人の男達はさっと引き、消えて行った。



Washington 1 008.jpg

    


「大丈夫?何もされてない?」

その人はしゃがみ込んだ私を道端まで運んでそう尋ねてくれた。 「大丈夫です」

彼はしばらく私の背中をさすってくれて、それから近くのレストラントへ一緒に行き、
そこで警察に電話をした。程なく2人のオフィサーが来て、放心状態の私に変わって
まず、彼の見た全てを話をしてくれた。

その後で私は一部始終を話し、彼が知り合いのふりをしてくれたことも伝えた。

警察で、その男性は近くの上院議員会館で働く政府職員だということが分かった。

「よくお礼を言うんだよ」とオフィサーの助言もあり、私は彼の連絡先を聞いて後日、
改めて会う約束をした。

Daveとはそれ以来のお付き合いだ。


結局、私はその事件がきっかけとなって珍しく弱気になり、翌日からNYの大学
への編入準備を始める結果になった。

けれどDaveは、私がワシントンに居る間もNYに戻ってからも、いつも私を気にして
くれていた。NYに移っても、出張やバケイションで訪れると必ず声を掛けてくれる。
そして彼は、会うたび私をむぎゅっと抱きしめてこう言う。

「よし、元気だ、会えて本当に嬉しいよ」

私は本気で信じている。Daveは神様が私にくれたガーディアン・エンジェルだ。


Washington 1 001.jpg        


私の人生は、幸せは、家族をはじめ本当に多くの人の愛と友情で今、ここにある。
そして私の守護天使は、私にこの先の人生を与えてくれただけでなく、そのことを
メッセージとして私に伝えてくれたのだった。


今日、ここでお目にかかったみなさんとも、どんなに小さくてもきっとご縁があった
のだと思っています。ですから心から、感謝致します。
Welcome to my days.


CaroleKing.jpg BillWithers.jpg MJ.jpg TheBeatles.jpg



ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
Thank you so much for all your support





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  March 24, 2010 02:00:21 AM
コメント(2) | コメントを書く
[Homesick] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X