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DJ Kennedy/life is damn groovy

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March 25, 2010
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カテゴリ:Homesick




  RainSongs 018.jpg




Canal St.でサブウェイを降りて出口の階段を上りきると、Almost China.
いや、私は中国へ行ったことがないので実情を知って言うわけではないが
チャイナタウンは、マンハッタンでも最も活気溢れる地域のひとつだ。


Bowery St.の方向へ少し歩き、ジェイレンに導かれるまま路地へ入るとすぐ、
その店はあった。なんだか分かりにくい店構え。ジェイレンが扉を開ける。

"Hi." "Good morning!"

愛想の良い20代の女性が二人、笑顔でこちらへ向かい、「じゃあ、早速ね」


連れて行かれたのは、写真を現像する暗室のように黒いカーテンで仕切られた
真っ暗い部屋。椅子がひとつ置いてあり、そこから2mほど離れたところには
何故だかポラロイド・キャメラが立ててある。


「どちらが先?」 おはよう、と声を掛けてくれた女の子がジェイレンを見て、
彼女が答えないうちに私の腕に触れ「あなたからにしましょ」


このワクワクに込み上げる笑いを抑え、おはようの彼女に促されて椅子に座ると、


「リラックスしてね、何も考えず。ありのままのあなたをキャメラに向けて」


そして、たった1枚、写真を撮って「ありがとう、済んだわ」 これだけ?



  Chinatown4.jpg



再び店頭に通されると、ショウウィンドウの横に4脚置いてある椅子を勧められ
ジェイレンの撮影が終わるのを待った。


10分程だろうか、店内の、本来彼女達の本業と思われる翡翠などの彫刻品を
ひとつひとつ見ていると、「じゃあ始めるわ。まず、あなたから」と、私を指差す。


彼女は出来上がった写真を私に向けた。私は一瞬、本気で度肝を抜かれた。


写真の背景は真っ黒で、その真ん中に私が居る。そして周囲には私を囲むように
もやもやと広がる7色の光。いつ、どこでどうしたらこんなことに??


「これって」
「これは、あなたのオーラです」


オーラ? 私は日頃からこういったことを一切信じない。が、彼女は続ける。


「あなたのオーラは素晴らしいわ。活力と自信に満ち溢れて、とても良い人生を
歩いていると思う。この光は、あなたが元来持つもので、言わば運命なのよ。
とても強い運命を あなたは持ってる」


は~ん、ってくらいの気持ちで聞いてはいたものの、こう誉めちぎられれば
誰だって悪い気はしないものだ。が、ここからが本題。


「だけどあなた、はっきり言って浪費家ね。お金が入ってきてもすぐに出て行く。
身に覚えがない?」 勿論ある。 「でしょう?早く食い止めないと」


食い止めるって、それは私の問題なわけであなたのヘルプは結構よ。と私の反論を
聞こうともせず、ショウケースから小さなボックスをたくさん出してカバーを取ると、
中には様々な石、よく言う「パワーストーン」が入っていた。

お店の彼女は私のその「オーラ」とやらと私を交互に見ながら、これ、これ、と
その小さなポケットからまるい石を選んでいる。

水晶、ローズクウォーツ、そしてスモーキィという名を持つ、本当にダークなグレイが
美しい石の3つをベルベットのトレイに乗せると、私の意思も尋ねずに、
「この順番で、スモーキィは5個は要るわね」と勝手に言って糸に通し始めた。



10713.jpg



お金の話はお行儀が悪いが、水晶1つ2ドル、ローズクウォーツ7ドル、スモーキィは
1つ10ドル、何だか流されるままに150ドルのブレスレットを買うことになった。

ちなみに、お金の運というのは左手から入るのだそう。そしてお金が溜まらない人は
右手から出て行くので、右手にお金のフロウを抑えるストーン、この場合はスモーキィ、
を着けておけばお金は出て行かなくなるのだと笑顔で断言するのだが。

私は写真から無理やりなブレスレットまでに「総合如何わしい指数」100を与えたが、
それでも面白体験の参加費用だと思えば納得しないでもなかった。ただ、どう見ても
しゃれっ気ひとつないこのブレスレットをすることにはかなり抵抗があり、「家に帰ったら
するわ」と言う私の主張をまたも取り下げ強引に、私の右手首に備え付けた彼女に
対する敗北感だけは当分の間残った。



   RainSongs 016.jpg



一方、ジェイレン。彼女の写真は、なんと一面「真っ青」だった。例え今回の件がどんなに
インチキ臭くとも、思わず鑑定する彼女の言葉を楽しみに待ってしまった。そして。


「あなた、今とても不安が強いのではない?青のオーラは心配や不安の証。悩みが
あるか、普段から感じるストレスが今、とても深くなっているか」


ええ?ほんとにぃ?と私はすっかり店の子へのファイト・モードでジェイレンを振り返ると
当の彼女は真剣に鑑定士を見つめてうん、うんと肯いているのだった。


「分かるの?今、恋愛がうまくいってない。それに、彼が出張でいないものだから、
 私ひとりで寝ているんだけど、ひとりで寝るのがとても嫌なの、怖い時があって」


鑑定士は当然だと言ってジェイレンの手を握る。 「そうでしょう、そうだと思ったわ」


不安を封じ込め幸福の気を体内に注ぎ入れる水晶を、心臓に近い場所に身につける
のが良いと助言(営業とも言う)し、何を血迷ったかジェイレン、本当に直径3センチの
水晶をペンダントにしてもらい、よく眠れるようにと、ベッドサイドに置く15センチもの
水晶、魔法使いが持っていそうなあれを台座付きで購入、かなりの高額を支払った。


「今日もいい仕事ができました」と言わんばかりの満面の笑みで、店の女性2人は
私達をドアの外まで見送ってくれた。



  Chinatown3.jpg



店を出てから、そのままチャイナタウンでランチをした。ジェイレンはあの店に
私を連れて行った(本当は彼女自身が行きたかった)理由を話してくれた。
彼女の知人等があの鑑定士の占いにより、様々な願いを手に入れたのだと言う。

1. 結婚した
2. 素晴らしい条件で転職を果たした
3. 整形手術で恋人ができた

恋人との結婚問題に悩んでいたジェイレン。普段はドライなニューヨーカーだが、
この話を聞きつけて「そんなに効くなら」と飛びついた結果がこれって、良いのかしら。



その晩、ジェイレンは私のアパートメントに泊まった。夜、夫が帰ると彼の方から
「今日はどうだった?楽しかった?」と言う。私はジェイレンと私の2枚のポラロイドを
彼に見せると、想像通りの爆笑を取った。

「これまるで、Hendrix(Jimi Hendrix)のジャケットだな」


あ、ほんとだ。私のがこれで、



   JH1.jpg



ジェイレンのが、これ。ぴったり、そのまんま。



   JH3.jpg



その後、長袖を着ている時のみしか身につけていなかったせいか、ブレスレットの
効果は全くと言って良いほど現れていない。これ、本気で着けていれば効くのだろうか。
それともやはり、信じるも信じないも私次第、なのだろうか。


(おわり)


Songs with the title "The Color(Colour or Colors) of Love"
CelineDion.jpg Snap.jpg BoyzIIMen.jpg BillyOcean.jpg
(Click and enjoy the music videos!)


You da Man, Jimi.
JH5.jpg



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Last updated  March 26, 2010 01:14:39 AM
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