Soul Saturday:Boogie The Night Away

March 27, 2010

テーマ：洋楽(3359)

カテゴリ：Soul Saturday

ダンス・マラソンという言葉をご存知だろうか。
これ、言わばダンスの耐久レースである。一定の時間を決めた中で、休みもろくに
取らずどれだけ踊っていられるかを競うもの。

アメリカにこのダンス・マラソンが入ってきたのは世界大恐慌の頃イギリスからで、
当時はBlackbottomやCharlestonが大流行だった。ところがこの健康面を無視した
このイベントが広まると、ケガをする人、亡くなる人まで続出した為、徐々に禁止する
州が増え、いったん衰退した。因みに当時の記録は、5150時間なのだそう。
それって、半年以上？

現在は、チャリティ・ダンス・マラソンが主で、全米の大学、また高校でも催されている。
時間は、だいたい24時間以上30時間以内におさめられているようだ。

私が通った大学では、私の在学中にはまだ行われておらず、70年代からの伝統を
持つ某大学のダンス・マラソンにスニーク・イン（侵入）して踊ったりしていた。

　　　

春先のある夜 in ノース・キャロライナ。

チャールストンで小さな仕事を終えた帰り、私はNC(ノース・キャロライナ）が気に入り
もう1泊してNYに戻ることに決めて、町のバーで飲んでいた。

閉店間際の深夜1時前になって、突然の豪雨。しかも雷も激しく、電車の駅からも
離れていればローカル・タクシーもなかなかこない片田舎のこの場所で皆、立ち往生
する事態となった。

しばらくの間重苦しい空気が流れ、誰も皆帰宅できないストレスが嵩み始める。と
その時、店のオーナーらしき男性が気風の良いことを口にした。

「どうせみんな帰れないなら、雨が止むまでダンス・マラソンしよう。賞金は
　うちから出すよ」

お金の力かダンスの力か、店内はにわかに賑やかになり、バーテンダーが1曲目を
流す。良いファンクだ。

「あ、L.T.D.だ」
「そうだ、彼等はここが地元だよ」

L.T.D.がNC出身だということをここで初めて知った。そしてオーナーはグループの
長年の大ファンで、次もその次も、結局L.T.D.を流しっぱなしな上にしまいには
彼等の曲のタイトル、"Love to The World"と書かれた自作らしきピチピチTシャツ
まで着込んでおり、結局は彼の好みに付き合わされただけだと誰かが笑って言った。

私は仕事の疲れも酔いもあって、90分が限度だった。大学時代には、よその
大学のダンス・マラソンで11時間踊ったこともあったのに（でもその夜の
最長記録は21時間で足元にも及ばなかった）。

雨は4時間以上降っていた。オーナーは太っ腹で、1分に$1をレイズする約束を
自らしており、結果約$300を2人の客が折半するということで、この楽しい不意の
大イベントは幕を閉じた。

この夜もし、あのままNYへ戻る飛行機に乗っていたら、私はこんな面白いことに
出会えなかった。運命のいたずらとは、何とも有難いものだと、今も振り返るたび
しみじみ思うのだ。

　　　　 L.T.D..jpg

　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　L.T.D.
1968年結成のR&B,Funkバンド。ノース・キャロライナ出身の4人組がやがて
NYへ移る。ある日ロードアイランドでのライヴで後のリード・ヴォーカル、
Jeffrey Osborneと出会い数々のヒットを飛ばす。
元メンバー2人が既に他界も、今尚現役。

NC's Pride, L.T.D.のヒット・ナンバー