DJ Kennedy/life is damn groovy

　




日が傾き始めた。


かれこれもう、7時間休まず走っている。けれど目に入る景色に変化は無い。

一方、「圧倒される」→「優しい気持ち」→「無になる」→「不可解」→「うそ～」
と私達の感情は時間が経つにつれ変化し、そして7時間後には再び「感動」
とうとう一巡する。



　　　　



ふと見ると、そこここでオイルを掘っている。さすがはテキサスだ。感激。


「なんだよ、面白いじゃないか」　「やっぱりホンモノを見ないとだね」
ハハハハハ、と笑顔を取り戻すも束の間。


「あ」　「あ」


フュエル・メーターのEランプが点滅した。Gasが底をつく。が、まだ走る。

「あと30分は走れるから心配ない」と彼は言うが、セバスチャン特有のお気楽発言
ではないか、あるいはこれも彼特有のあの「ヤバイ時ほど元気に行こう」気質。




　　　　



日が暮れようが月が出ようが、地上の景色は一向に変わらない。


「AAAに電話しようよ」が、AAAの電話番号も分からなければ、現在地も
特定できない。

こんな広いところに、ぽつんと。

「いいよいいよ、もう少し行こうぜ」　「だね」　「そうだよ」
「でもこのまま止まったらどうする？」　「そんなの知らなーい」


壊れかけたニューヨーカー2人、ここはもうごっついファンクでトランス状態に
陥るほかない。


「よーし、プレイ！」　セバスチャンの号令に思わず　「イェッサー！」（Yes, sir!）



　　　
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非常事態発生。選曲がまずかったか、ここで車がスーッと止まる。
周囲には本当に何もない。暮れゆく大地。ふと、"トゥトゥー"という音に気付けば
長い長い列車が私達に新たな洗礼を受けさせるべく高速で通り過ぎていく。



　　　　



「これ見よがしにそんな速く走らなくったって！Gasを少し分けてよー」口に手をあて叫ぶ。


仕方なく、通りすがりの車を待ちながら私が運転席に座り、後ろから怪力セバスチャンが
スイスイと車を押す。

「おお、走る走る！がんばれー」　「いいから黙っててくれない？」



　　　　



天は私達を見放さなかった。ただただ伸びていくだけのこの道の先に、
小さな光が。あれはまさに、煌々と光るGas Station。
押せ、セバスチャン！ゴールはたぶん、すぐそこだ。



　　　　




翌朝の空は格別に美しかった。
Gas Station横の小さなMotelに1泊し、早くに出発すると、何のことはない、
もう町はすぐそこで、2分も走らずDaily Queenに辿り着く。




　　　　



そしてまる2日走り私達はようやくテキサスを制覇？ニューメキシコに歓迎される。

けれど、偉大なる自然に支配されたこのテキサスを甘く見ていたばかりに、ひどく
お叱りを受ける旅となった。やはりテキサスはスゴイ。そして、コワイ。



　　　　



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