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April 6, 2010
テーマ：宇宙(900)
カテゴリ：Homesick
 2001年2月7日午後6時13分。 その日は、郊外の家に戻っていた。Manhattanの中心Grand Central Terminalから 電車で北へ50分弱の場所にある、緑豊かな（はっきり言って田舎）小さい町。 だいたい10月の終わりから11月の第1日曜日には冬時間になるので、夏時間よりも 1時間、夜が早く来る。そして標高の高いこの町は、とても寒い。 帰宅すると早速エアコンを入れて、TVをつける。今、午後5時50分。天候に問題が なかったら、あと少しでスペース・シャトルが打ち上げだ。 まだ時間がある。普段から、TVをつけるとまず、最初にローカルのお天気を伝える ウェザー・チャンネルを観る。地域の天気予報は10分に1回放送してくれる。 キッチンでお湯を沸かしながら明日のお天気を聞き、そのすぐ後でふと耳に入った ニュースに、全身がしびれた。 私の小さな人生最大級の大チャンスが突然やって来たのだ。  予報士が付け加えたのは、こう。 「ところで、スペース・シャトル・アトランティスの打ち上げまであと少しですが、フロリダ ケネディ宇宙センターの天候は良好で、予定通り6時13分に打ち上げられますと、 約4分後にニューヨーク上空を通過します。南の空を45度ほどの高さで西から東へと 移動するのが観測できます。みなさん、窓を開けて是非このイベントをご覧ください」 フロリダからニューヨークまでは飛行機で約3時間。その距離およそ1526kmを、マッハ23の 速度を誇るスペースシャトルはたった4分で辿り着くと言うのだから、知識乏しき宇宙フリーク には、何が何だか分からない状態で胸の鼓動ばかりが速まる。 外は快晴、マンハッタンと違ってここは日が暮れた途端に星が輝き出す。この時外気温は マイナス4度だったと記憶している。コートを着てテラスに出ると、キーンと耳が冷たい。  なんていちいち認識している暇などない。瞬きも我慢してじっと南の空を見据えたその時、 右（＝西）の方角からオレンジ色の細長い光が目線よりも少し上に現れ、地平線と並行に かなりの速さで移動すると、5秒足らずで消えていった。まるで空間を滑るようだった。 オレンジ色の長い光、と表現したが、見た目には、マンガなどで描かれるロケットの 噴射口から飛び出したジェットの光、将にあれである。空は真っ暗なのでシャトル本体は 殆ど確認できず、その分ジェットの鮮やかなオレンジが美しい、よりもやはり不思議だった。 もう居てもたってもおられず私は思い切り両手をふり"Good luck!""Home safe!"と夜の帳が 降りた静けさの町に叫びまくり、下の池で夕餉を楽しむカナディアン・グースのファミリーが びっくりしてガーガーと一緒になって鳴いた。  ほんの一瞬のできごとだったが、まさか自宅からスペース・シャトルが観られるなんて、 誰が想像できるだろう。いつかフロリダへ打ち上げを観に行きたいと願ってはいても、 こればかりはこちらで予定を立ててもその通りにはなってくれない。 こんなかたちで夢が適って、私は少なくとも1週間は夢心地だった。 STS-98,Space Shuttle Atlantisは、12日と21時間21分のミッションを終えて無事、 アメリカ東部時間、2月20日午後3時33分に帰還した。 こうしてシャトルが飛ぶ様子を見られる幸運をよそに、身の程知らずの私はまた、 見果てぬ宇宙への夢に思いを馳せることになっていくのだった。 因みにうちのセバスチャンはそういう私を鼻で笑い、この一撃。 「覚めてることに気付いてても見る夢って、夢なの？」 もう夜明け。今夜はUFOのお話でも。Good day, friends. Good Rock Tunes from 2001     (Click and enjoy the music videos!)  にほんブログ村 Thank you so much for all your support! お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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