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DJ Kennedy/life is damn groovy

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April 22, 2010
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カテゴリ:Homesick




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森の町では、出会う人ばかりでなく多くの動物達が大切なことをたくさん教えてくれる。


毎年4月のイースターが来る頃、池の畔で産卵し約3週間、カナディアン・グースの夫婦は
卵を大事に大事に育んで、月の終わりにはちょっとグリーンがかった、キウィフルーツ
みたいなベイビィが生まれる。だいたい2羽から8羽くらいだ。


日本でも大人気のカルガモは、母親が産卵すると父親はぷいっと次の出会いを求めて
いなくなってしまうが(いくら本能とは言えちょっと腹が立つ)、カナディアン・グースの場合は
産卵、孵化し子供達がほぼ自分達と同じ姿に成長するまで、しっかりと夫婦が役割分担し
ヒナ達を育て上げると、巣立ちの頃には、家族揃って池から飛び立っていく。




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                   夫婦でしっかり子育てします




そんな彼等は、毎朝を優しい気持ちでスタートさせてくれる。


午前6時。ブラインドを開けて眼下の池を眺めると、母が自分の羽を大きく広げてその下に
子供達を休ませ、子等は肩を寄せ合って体を温めている。父親はそこから数メートル離れて
立っている。子供がまだ生まれたばかりの頃には、どんな動物もセンシティブになっており、
ほんの小さな物音にさえ、とても敏感に反応する。私がベランダのドアを開けたりしても、
ピクッと首を伸ばしてこちらを窺うものだから、思わずExcuse me,と呟いてドアを閉める。
その雄雄しい姿は「おい君、うちの子供達を起こさないでくれないか」と言わんばかりなのだ。




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                       Breakfast!!



7時頃になると、子供達は広い羽からひょこひょこ起き出して、母の近くで芝を食べ始める。
これが最初の社会勉強だ。


不思議なもので、全く同じ顔形をしたギースの子供達にも、性格はやはりあるようなのだ。
毎年必ず、本当に必ず子供達の中から1羽、一人よがりなマイペース君が登場する。
他の子供達より、ママ・グースよりもずっと離れて、そのうちに両親がガーガーと鳴いて
子供を呼ぶのにその子だけ一向に戻らない。この子を戒めるのは父の役目だ。ささっと彼の
傍へ近付くと、子供は悟り、母の懐に逃げ込んでしまう。「ごめんなさーい」とバツが悪そうに。




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                   ボーギー、怒られる5秒前




「また怒られてる」 私達は毎朝のようにこう笑う。


また、毎年必ず、甘えん坊もいる。片時も母から離れず母の足元にくっついて、たまに
母の水かきにぺたっと踏まれたりしているのを見かける。




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                      末っ子なのかも



池には全長1メートルもあるカミツキガメも生息しており、子供達が少し成長する頃、カメの
産卵期を迎える。池の土手に上手に穴を掘り、1日もそこにじっとしている。が、そんなことも
知らないギースの子、殊にさっきのボーギー(と私達は毎年このタイプの子を呼ぶ)はお決まり
のようにカメに近付くと、カメは突然、ガタガタとその場で揺れ始める。近くに盛ってある土を
卵にかけて、ボーギーを攻撃しようと言うのである。が、そこでまた父の出番。


ボーギーは何度でもこうして怒られては母の足の下に逃げ込む。これも何とも、人の子のよう。




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                        母「こっちよ」





ここに暮らす彼等の天敵はカラスである。カラスはカルガモやギースのベイビィを終始狙っている。
ギースの子はカルガモに比べて大きいし、親達がしっかりプロテクトするので私の知る限り今の
ところ犠牲者はゼロだが、カルガモは毎年何羽も咥えて連れ去られてしまう。カラスってヤツは、
いや彼等だって本能に従って行動しているのだから仕方がないのは分かるのだが、何とも
損な存在だと思う。実際、そんな現場を見るたび、図らずも人に嫌悪を与え、「こらーっ!」と
絶叫させてしまうのだから。


稀に深夜、けたたましい鳴き声と池の水がスプラッシュする音を耳にして目覚めることがある。
そして朝、ブラインドを開けると、そこには普段の池には見られない恐ろしい光景があったりする。
同じカナディアン・グースが首を折られて死んでいるのだ。




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               (Click and see the goose family marching!)
           先頭を行くのはお母さん、お父さんは後ろから家族を守る



これも時折あることなのだが、子供に恵まれないギース夫婦は、およその子供を欲しがるように、
夫婦でいつも子供達を遠くから見つめている。近付こうとすると父親が首を低く伸ばして威嚇し、
母は咄嗟に子供達を羽の下に避難させる。実際深夜に何が起こるのかは人間には分からないが
オス同士が闘っているのだけは確か。そして勝利を得るのは決まって子供のある父親である。


パパ・グースは、命を張って家族を守るのだ。父は強い。


両親の愛をいっぱい受けて、ギースの子供達は1羽も減らずにすくすくと育ち(カルガモは、
10羽生んでも残るのはだいたい2羽程度)、夏までには体が大きくなって羽も伸び、親と同じ
色に変わって、ある朝気付くと、池は静まり返っている。巣立ちの時。




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                    だいぶ大きくなった頃





私達はこうして飽きもせず、毎年毎年春になると変わり映えしないギースの写真を、それこそ
本能のままにバシャバシャと撮り、気がつけば3000枚以上にもなっていた。けれどもこんなこと
しているのは、私達だけでは決してない。


北米に住む人間達は、愛らしいギースのベイビィと、この見事な家族愛の虜になってしまう。
人の持つ感情など動物にあるかは分からない。けれどもこの世に受けた生を淡々と生き抜く
動物達の、この人間以上とも思える強い愛情を目の当たりにすれば、言葉が通じない、
生き方が違う、本能と知性、もうこれだけ違いのある動物と人間の間にただひとつ、
共有できるものを見出して、厚い友情を感じてしまうからなのだろう。



For This Happy Family.
SmokeyRobinson.jpg WAR.jpg Heartwave.jpg BillWithers.jpg
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Last updated  April 23, 2010 02:28:06 AM
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