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April 23, 2010
カテゴリ：Friday-Night Boom
 ビアの飲み方ひとつで、その夜の運が変わってしまうというお話。 Casino（カジノ）での、中国人男性の遊び方には目を見張るものがある。 時々お話させて頂いているが、私達はBJ(ブラックジャック）のテーブルでは ちょっとプロなので、楽しい思い出作りにだとか勝負デイトだとか、そんな 中途半端な気持ちで赴く場所ではないことくらい知っている。 ギャンブル＝運試し。今宵自らの運に大金を賭ける醍醐味を、そうそうじゃま されたくはない。そう思いながら遊ぶ人の方が、優雅にラメ入りドレスを纏い、 一番高価なドンペリニヨンなど飲みながらお金を捨てることなど何とも思わない 人達よりもずっとゲームをよく知っているし、礼儀も身についており、 そしてとても強い。 ドンペリニヨン・カップルには、彼等の為だけに用意された仰々しいまでの お席へ速やかに移動して頂くことである。「この雰囲気を味わいに来ましたの、 おほほほほ」みたいな人には運試しなど必要なし。そもそも捨てる程のお金が あるならこんなところへは来ず、小児病院でも建てる算段を準備する方が、 どんなにか充実することだろう。そしてその後お金が残ったら大きな船を買い、 世界を渡り歩けば良い。  さて、主人公の中国人男性達である。何度見ても印象に残らないような、でも 眼力鋭く背は低く、気配すら消しているのではないかという凄みも持ち合わせる。 年齢はだいたい40代後半から60にかけてが多いだろう。ドリンクのオーダーを 取りにやって来るウェイトレス以外は誰とも口を利かない。そんな気骨のある 彼等は、余裕があるようにも見えるし、明日の生活を賭けているようにも見える。 彼等が座るテーブルには緊張感があり、終始本気モードの我等にしてみれば この上ない安心材料なのである。そして、なるべく彼等が遊ぶテーブルを探す。 間違っても、カジノでの振舞い方を知らないブロンド美女を横に侍らせ、100ドル チップを何枚も重ねてその女性にベットさせふんぞり返っているようなふざけた おデイトモードの男性が座るテーブルにはつかないことだ。 彼等は絶対的に弱くマナーも悪く、5分と待たず大惨事を招く可能性大。 カジノ側にしてみれば、良いお客さんではあるけれど。実際に、ピットボス （ゲーム・テーブルの奥で一切の管理を任されている）は、カジノにとって何の 危険ももたらさないこうした人達には、至極優しく接している。 ゲーム中、微妙なカードの組み合わせが出て「おデイトモード」が非常識なベットを やってくれちゃうと、一見魚屋さん？漁師さん？擦り切れかかったキャップを目深に かぶり、むっと口元をつぐんでディーラーの指先だけを見つめて目の前に配られる カードに人生を賭ける、みたいな中国人男性群は徐に不満の色を浮かべ、時には チップを鷲掴みにしてその拳をテーブルに叩きつける。私達は彼等の気持ちが 良く分かるので、「そうだろうそうだろう」という同情の顔をワザとらしく見せたり する、つまりあなたたち同様、そこのおデイトモードにはほとほと困ってる、と アピールして見せるのである。 彼等も私達の遊び方を見ればあの軽薄なカップルとは違う、キャップ軍団と同じ匂いを 持っていることを悟り、目を閉じて頷いて見せたりするからまた楽しい。そしてこれは、 単なるギャンブル好きの名刺交換やその場の雰囲気作りのみならず、次のゲームの 流れを作ったりするから不思議だ。  その夜、リーさん（仮名）はツイていなかった。 スマートにゲームをこなしていく彼のような中国人男性にツキがないと、私達まで がっかりする。彼等のような人に頑張ってもらわなければ、強運をお裾分けして もらえない。頑張れリーさん、 テーブルの運命はあなたが掌握しているんだぞ。 が、1時間遊んでディーラーが交代しても、流れは変わらなかった。本来持っている 勝負強さも、時には影を潜めるようだ。 リーさんは、最初ペプシを飲んでいた。が、いつの間にやらビアに変わっており、 そうしてビアに切り替えてからこちら、気付けばまったく勝っていなかった。ビアも 6杯目をオーダーしようという時、ウェイトレスに何やら小声で囁いていた。 ビアがどうの、と言っているようだった。 私の知る限りリーさんは今、4000ドルの負けがこんでいる。 （明日へつづく） Casino Entertainmentの大御所、The Temptations     (Click and enjoy the music videos!)  にほんブログ村 Thank you so much for all your support! お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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