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DJ Kennedy/life is damn groovy

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August 21, 2011
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カテゴリ:Simple Pleasures

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遊び過ぎて現実の世界に戻れなくなっているDJK.....






デイブとカレンは既に酔っていた。現れた時には既にビアの入ったカップを手に持っていたし、加えてどうやら二人の世界にも酔っていた。たったレート$50のテーブルにタキシードとスパンコールのワンピースという井出達はさすがに浮いてしまう。ま、いいか。勝負デートなのだろう。



ちなみに、賭け金はどのようなゲームでも様々で、1回のベットを5ドルでできるテーブルもある。ただ、安いテーブルには上手なプレイヤーはとても少ない。私は(何度でも言うが)ちょっとプロなので、最初は様子見の為に$50か$100のテーブルにつく。その日の流れが見えてきて調子が良いなと思ったら,"High Betting"つまり高額のテーブルに移ることもある。高額ベットの話はまた別にあるが、本音を言えば$500に生活を賭けていそうな人の多いテーブルほどスリリングで面白い。こちらも一緒になって本気になれるからだ。ゲーム自体やディーラーとの駆け引きを知りそうにないプレイヤーのいるテーブルには、私は座らないことにしている。



不思議なもので、プレイヤーの気が合うとゲームの流れが良くなることが多々ある。逆にその気が淀むとディーラーにラックをさらわれてしまう。このテーブルは、独り勝ちもなければ誰かが大負けということもなく、またディーラーにも目立った強さが感じられないので場が安定し、全員が少しずつチップを増やしていた。ドレイクと私はグリーンのチップ(1枚25ドル)を4枚重ねてプレイしており、仲良く同じだけ増えていた。



カレンはゲームを知らないようだった。デイブに言われるままにチップを2枚並べてひとつのスポットに置くと、ディーラーが重ね直した。カレンは"Sorry"とディーラーにウィンクを送るも、彼はそっぽを向いてプレイに戻った。彼女の意に反してその艶やかなウィンクはこのテーブルでは通用しないようだった。カレンは仕方がないのでデイブにしな垂れかかる。



カードが配られると、カレンの前には3が二枚。デイブの指示で「スプリット」と言うと、彼女は自分の両手でカードを横に並べた。すかさず韓国人男性が「触るな」と止める。続いてディーラーのケントが、プレイヤーはカードに触れてはならないと説明し、それに対しカレンは二つ目のウィンクで謝るも、またもや虚しくスルーされる。通常は、トラブルに関わるべきはディーラーのみなので、私はこうした時どんなに迷惑を掛けられても黙っていることにしている。とか言いながら、さっきの韓国人のおじさんには即時に感謝の視線をお送りするのは忘れない。



カレンの無知が原因、のはずはないがディーラーに良い手が入り全員がチップを没収される。そしてここから流れが変わる。それまで、つまりデイブとカレンが入ってくるまでは笑い声すらあったこのテーブルに異様な冷気が漂い始める。この冷気は、カレンに対する警戒である。



その警戒感は奇しくもカレンに幸運をもたらしてしまう。ビギナーズラックとしか言いようがない。次のゲームからカレンは面白いようにチップを重ねていく。セオリーや周囲に対するマナーをまるで無視した彼女のbettingにメルと彼女のご主人は眉をしかめ、ドレイクは怒り顔を私にぶつけ、シンシアは無言ながら、右手の中のチップ数枚をカチャカチャと鳴らして不満を訴える。私はディーラーのケントをじっと見る。彼は私達の心情をよく理解してくれているようだった。



彼女の前にはグリーンのチップ8枚を1本にして、その小さなタワーが4本立っていた。$800だ。デイブとカレンは新しく運ばれたビアをグビグビと飲み干し、「私がこんなにラッキーなのはみんなのおかげよ」と声高に笑う。みんなとは私達のことだ。



こんな失礼なプレイヤーは長い長い私のカジノ歴でも珍しい。小娘相手にイライラするのはみっともないが、彼等の乱れたプレイが原因で私達は総崩れになるのだから反感を買うのは当然だ。がここで流れを引き戻そうとひとりの男が立ち上がる。一番目のスポットで岩山のような威厳を見せる韓国人男性。彼はデビルに対し真っ向勝負を挑む。



次のシャッフルで、彼は$100紙幣を10枚ケントに差し出し、



"Greens. All greens." 



全部グリーンで渡してくれと言う。ディーラーの手元にはグリーンが40枚もなく、プレイヤーに両替を促し、ドレイクも私も、持っていたグリーンのチップを全て$100の黒いチップに替えた。集めたグリーンが彼の元に置かれると、彼はまずグリーン20枚をタワーにして彼のスポットに置く。それを見てカレンは興奮しケタケタと笑いながら、



「WOW, BABY!!なんて素敵なの!ビアをごちそうするわ!」



するとおじさんの痛快な一言。



「おまえのビアなんかいるか」



ドレイクが私の背中を叩いて喜ぶ。右隣のシンシアは「ふっ」と鼻先で笑っている。



さぁ、ケントがカードを配り始めた。おじさんの手はキングと8で18。他のプレイヤー達も3枚目を引くような手にはならず、カレンのスポット。スペードの9とダイアの4で13。ディーラーのカードは5である。この場合、ディーラーはバーストし易いので通常12以上の数では3枚目を引かない。



が、何を血迷ったか、カレンは人差し指でテーブルをトントンと叩く。「もう1枚」の意味である。



おじさんは手持ちのチップを叩きつけて怒りを露にする。シンシアも同調し「彼のベットを見なさいよ!」と叫ぶ。ケントは「本当に引くのか?」と尋ねる。デイブとカレンは、



「何がいけないの?」

「これは俺達のゲームだ。何が悪い?」



呆れてものが言えない私達。ケントもさすがに首を横に振り、次にすまなさそうな表情で奴等以外のプレイヤーを一人一人見つめる。



そして彼は次のカードを引く。




     つづく






           








































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Last updated  August 21, 2011 07:02:33 PM
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