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DJ Kennedy/life is damn groovy

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August 25, 2011
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カテゴリ:Simple Pleasures


205.jpg

ホテルに戻るや否や、寝てばかりいるDJK・・・遊び疲れ。社会復帰はますます困難。







シンシアは100ドルチップを2枚重ねて置いた。カレンはずっと50ドルでプレイしている。ディーラーのケントが"No more bets."と言い、カードを配り始めた。




シンシアの1枚目はA. 本来ならカレンの前に置かれるエースがシンシアに奪われたことをデイヴは徐に口にした。しかし呂律が回らない。酔っ払いの雄叫び、か負け犬の遠吠え。




「それは彼女のだ!」




カレンのカードは9、ディーラーの1枚目はJ、つまり「10」である。



シンシアの2枚目にはハートのキングが入った。



"Blackjack!"



ブラックジャックは賭け金の1.5倍が支払われる。ケントは、カレンのチップの横に100ドルチップを3枚、流れるような手つきで200ドルの横に付けると、彼女のカードを片付けた。



カレンの次のカードはダイアの10で、彼女のカードは19。ディーラーの裏のカードは10で、カレンは50ドルを没収された。



ケントは、まるでシンシアの心情を汲み取っているかのように静かに、スピーディにゲームを続ける。そしてそのスピードに乗るように、シンシアは強さを増し、今やシンシアの賭け金は500ドル。黒いチップの山が彼女の前に段々と高くなっていった。



これもよくあることだが、誰かひとりが強い時、その場に馴染んでいるプレイヤーはそのリーダーの波に乗れることがある。が一方、明らかに違う空気を持つプレイヤーはリーダーに運を奪われる。ブラックジャックの場合、場の雰囲気を知る勘も「引き際」を見極めるポイントになる。



確か、4回目のシャッフルではなかったか。中盤あたり。シンシアに2枚の8が入った。カレンは絵札が2枚で20、安全な数である。ディーラーの表はハートの7、面白い数字だ。




彼女はマニュアル通り8をスプリットする。通常、見えているディーラーのカードがAか10または絵札でなければ8はスプリットである。ここで、ビギナーは見境なくスプリットしたがる傾向にあるが、スマートにプレイするなら、ディーラーがAか10なら「ヒット」が良い。ちなみに、ディーラーのカードが強い時、私は決して16では止めない。必ずヒットすることにしている。



さて、ここで、奇跡とも言える鮮やかな彼女のハンドに一同身を乗り出す。




シンシアのハンド


8 - A = 19

8 - 8 (スプリット) → 8 - 2 (ダブルダウン) - A = 21

           → 8 - 3 (ダブルダウン) - K = 21

8 - 3 (ダブルダウン) - 9 = 20



テーブルがざわめく。こんなに見事な手は久し振りに見た。ずっと冷静でいたシンシアもさすがに興奮し、隣に座る私の右腕に縋りついて"YES!!!"を何連発したことか。



そしてカレンの番だ。彼女は20を持っており、ディーラーは7なのだから、ここではゲームを知る人なら100%ステイする。が、女王の降臨で酔いが沸点に達したビギナー、デイヴはカレンを制してケントに向かってレロレロと叫ぶ。



「スプリットするぞ~~~」 (本当は「すぷりっろるるろぉ~~」くらいの酔いっぷり)



ディーラーの裏のカードがもしも10(この場合、私の計算ではその公算が高かった)なら彼等は勝てるのに、20をスプリットしてしまうとは、なんと愚かな。



カレンのハンド



10 - 2 - 10 = 22 (あらら)

10 - 5 (よりにもよって、ここでスタンド。怖気づいたか。) = 15



「さっさと開けてくれ」



デイヴは、私達もすっかり見慣れた茹でだこフェイスで再びレロレロと叫ぶ。実のところ、殆ど言葉になどなってはいない。



ケントは右手に持った「7」で裏のカードを返す。バシッと入った「A」。



"Eighteen."



胸のすくようなエースは、デイヴとカレンを容赦なく粉砕した。この時私達の背後には、シンシアのハンドを固唾を飲んで見守る人だかり。そして歓声。ケントの笑顔も爽やかで、シンシアに人差し指を向けて「素晴らしい」と讃えた。



更に私達の胸を高鳴らせたのは、シンシアの目の前に次々と並べられた黒いチップだった。彼女がここで賭けたのは3500ドル。得たのも3500ドル。総額7000ドル分の黒いチップには迫力がある。シンシアはすかさずオレンジの1000ドルチップ7枚に替えた。カレンのチップは女王による成敗で激減し、グリーンのタワーは崩壊・消滅していた。



皆、シンシアの肩をぽんぽんとたたいてこの盛り上がりを楽しんだ。が、その時、怒りに震えたデイヴが、左手に持ったビアをテーブルにぶちまけ、シンシアに罵声を浴びせた。



「おまえが出てこなきゃ、俺達があのまま勝ってたんだ!その金、よこせ!」



デイヴの大声に、奥にいたピットボス数人がテーブルにやって来てプレイの中断を言い渡し、1分も経たないうちにセキュリティが4人現れると、デイヴとカレンは連れ去られた。



結局そのテーブルは水浸しならぬ「ビア浸し」となり、ここで解散ということになった。ドレイクも私もこの日は大きな勝ちにならなかったが、それ以上に、驚くべきシンシアの強運がカジノの夜の醍醐味を味わわせてくれ、おかげで実に清々しい気持ちでテーブルを離れることができたのだった。



あ、一応付け足しておくと、私はやはり「ちょっとプロ」なのでドレイクにも勝利を与え、私自身も多少は潤ったものの(実は今回、普段は殆ど座ることのないスロットマシンで面白いことがあったので、これはまた改めてお話します)、当初目標にしていた「ヨーロッパ旅行の旅費」までには到達しなかった。どうやら、いったんニューヨークから東京へ戻り、紅葉の美しい秋に照準を定めて欧州旅行の計画を練り直すことになりそう。つまんないの。



                           
                                   おわり





          






































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Last updated  August 26, 2011 02:02:46 AM
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