ぷちぷち短編小説『取引』
街路樹脇に一台の外国車が止まる。 助手席より足早に降りてくる。 パタンとドアが閉まった瞬間にもう車は動き出していた。 降りた人が路地裏へと入って行く。「例のもの用意できたのか?」「当然です。抜かりはありません」「では頂こうか」「その前に御代を見せて下さい。同時交換ですよ」「抜かりがないなぁ」「この世界では常識ですよ」「判った。ほらここにある」 ちらっと見せる。素早くなんだか意味ありげなライトで確認をする。 その間も相手はそのものは離さない。「では、そちらのものを見せて貰おうか」 今度はじっくり吟味されてる。「如何ですか」「上物だ」「お気に入り頂けたようで。じゃ取引しますか」「そうだなぁ」 お互いに交換する。「じゃ」 ワンコールを携帯に入れる。また、降りた街路樹に向かう。 付くと同時ぐらいに車が停車、そこに乗る。乗ると同時にスタート。 車は点となり。もう見えなくなっていた。「この取引形態やめませんか?」「何でだ。相手はいたく気に入っているのにか?」「100%林檎ジュースを届けるに何でこんな手段を」「上物を素早く届ける。まぁいいじゃないか。ゲームだよゲーム」「それりゃ。こちらも楽しんでやってますけどね」「お金をこちらに」「はい。どうぞ」 お金とジュースラベルに秘密がある事は知る由も無かった。<おわり>