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カテゴリ:書評
「河合隼雄のカウンセリング入門」
いわずと知れた大物臨床心理学者が、初心者相手にやったカウンセリング講座の記録本。 カウンセリングの基本について、よくまとまった記述があるので引用。 「カウンセリングとは何か。結局、セラピストであるわれわれの考え方を押し付けたり、あるいは説得したりするのではなくて、やって来たクライエント自身の気持ちを受け入れていくという中で、クライエント自身の自主性、クライエント自身の考え、クライエント自身の体験というものを大切にしながら、その人が変化していくのを助ける、ということだと思います。」 ところが、この本に出てくる初心者たちがロールプレイをやってみると、見事に失敗する。「なんとかしてやらなくちゃ、何か言わなくちゃ」と追い詰められて、説教してしまう、説得してしまう。僕自身がこの本の中に入っていってロールプレイをやっても、同じことになりそうだなーって感じ。 あるいは、ロールプレイの中でクライエントが自殺念慮を持ち出したり、とうてい答えの出ないような問題を持ち込んだりして、カウンセラーを大いに困らせる。 通読した感想は、カウンセリングってなんて難しいんだ、ということ。 前に読んだ斎藤環の本によれば、いま女子高生に人気の職業第2位が、「カウンセラー」なんだそう。mixiなんかをさまよっていても、「将来の夢はカウンセラーになりたいです☆」とか書いてる女の子はいくらでもいるし、放送大学でも心理学の面接授業は履修希望者が多くてパンク状態だし。 なんかおかしいよな。この本一冊読んだって、カウンセリングなんてそんな簡単にできるもんじゃないってわかるのに。なんとなく人の役に立ちたい、人の心を癒したい、人の心を操作したい、人を癒せるようになったら自分も癒されるんじゃないかしら・・・・そういう甘えた考えで「カウンセラーになりたい☆」とかいうのには、非常に嫌悪感を覚えるわけだ。この一冊でいいから読んでもらいたいよ。あんた、人から「死にたい」って言われて耐えられる?ってね。 かくいう僕も、放送授業で心理学をかじったり、こんな本を読んだりしてるけど、それは日常生活の中で、仕事や、プライベートで出会う人の話を少しでも上手に聴いてあげられるようになりたい、って思うからです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005年10月15日 22時29分08秒
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