カテゴリ:音楽関係
ネットでSさんという方のマンドリンを偶然見付けた。マンドリンを探していた訳ではなく、本当はマンドチェロのことを調べていたのである。Sさんはなんとも美しいヴァイオリンやマンドリンを作っておられる制作家で、いろいろ情報を探していたら大阪の楽器屋さんに一本あるのを知って気になって仕方がない。自分は氏のことを全く知らなかったのだが一枚の写真を見て二日程このことが心の中をいっぱいにして何度も何度も写真を見て、あんまり気になるので時間を作って出掛けてみたのだ。かくも美しい楽器が果たしてどういう音を聞かせてくれるのか。
バスや電車を乗り継いで訪ねたそのお店のいちばん奥にその楽器は置かれていた。写真で見たとおりの美しい楽器をお店の方に声を掛けて弾かせて頂く。優美な姿から予想した以上に強くてはっきりした音がするのに驚いた。それは軽く弾いても強く弾いてもしっかりと反応してくれる素晴らしいマンドリンであった。 実は自分は長いこと弦も切れてしまって弾かないままで壁に掛かっているが学生の頃に中古品を買ったあまりよくないマンドリンを持っているのだ。それに乗り換えの駅のそばにある別の楽器屋さんも訪ねて比較のために最近のメーカーもののマンドリンも弾かせてもらってからこのお店に来たのである。ここには他にも二人の個人制作家の手工マンドリンがあったが、その一方はSさんのものとはまた違った性質のより太くて深い音がするこれも大変魅力的なもので、どちらを選ぶかというのはなかなか難しい好みの問題だと思った。日本の手工品マンドリンもメーカーものとは一線を画した素晴らしいものが出来ていることを知る。取っ換え引っ換え小一時間マンドリンを触らせて頂いて非常に満足。マンドリンは欲しくてもとても買えないがギターの弦を2セット買ってお店を後にする。考えてみれば自分はマンドリン弾きでもないのに、いつかSさんにマンドリンをオーダー出来る日が来るのを想像して心が躍る。 ところで肝心のマンドチェロだが、これがなかなか見つかるものではない。80年代のはじめ頃Mike Marshallの演奏を聴いて以来ずっとマンドチェロのことが気になり続けている。クラシック系のマンドリンオーケストラで使われるものは何処ででも手に入るのだが自分の探しているのはアメリカンタイプのマンドチェロである。クラシック用のものとはかたちも音の性質も違う。マンドチェロと言っても多くの方には馴染みが無いことと思うがヴァイオリンの仲間にビオラとチェロがあるようにマンドリンの仲間にもマンドラとマンドチェロがあるのである。1920年代頃まではアメリカでもマンドリン音楽が人気があり沢山のマンドリン系の楽器が作られていた。その後はDavid Grismanが提唱した新しいマンドリン音楽であるDAWGミュージックで70年代から使われるようになるまでマンドチェロの存在はほとんど表に出ることはなかったのではないだろうか。 そういう訳でマンドチェロという楽器自体も20年代頃のGibson、80年代になって作られたKentuckyあるいはJohn Monteleoneなどの個人制作家の手によるものの他は無いのではないだろうか。古いGibsonはともかくKentuckyにしてもMonteleoneにしてもそれぞれそれほどの数が作られているはずはなく売り物として市場に出るものはまれである。(戦前のGibsonやMonteleoneがとても自分などに買える値段で出ないだろうとは思うけれどもそれはさておき・・・)まれであるという以上にほとんど見たことが無い。83年頃にKentuckyからマンドチェロが発売された時はかなり色めき立ったものだが、当時買ったギターの支払いに四苦八苦していた自分にはどうにもならなかった。今から思えばあの頃買っておけば、という気がするがそんなことを言ってもどうにもなるものじゃない。あの低音のCの音までドーンと響くマンドチェロの音はあまりに魅力的だ。 いつかマンドチェロを手放してもよいという方が検索していてこのページを見付け連絡を下さることを祈りつつ。。。 以下検索のためのキーワード マンドチェロ Mandocello ケンタッキー Kentucky ギブソン Gibson グリスマン Grisman マーシャル Marshall ドーグ DAWG KK-4 KK-DAWG K-1 K-2 K-3 K-4 K-5 ついでと言っては何ですがこちらを手放してもよいという方も御座いましたらどうぞよろしく、お待ちしております。 スリップウェア slipware お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.08.21 12:37:21
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