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2008.07.12
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カテゴリ:うつくしいもの


 大阪日本民芸館にて3.20~7.13までの期間開催されている「インド・大地の布展」を見に行った。すでにこの展覧会には5月16日に一度行ったのだがもう一度見ておきたくてふたたび訪ねたのである。民族染織研究家の岩立広子さんが長年掛けて蒐集されたインドの絞りや刺繍やたくさんのミラーを縫い付けた衣裳は大変見応えがあるもので、また別の部屋に併設されていた濱田庄司のやきものとそしてこれはおそらくまたとは得がたい機会ではないかと思うのだが、アメリカとイギリスの古いスリップウェアが同時にそれぞれ10数点づつほども並べられていたのはスリップウェアに関心のあるものにとってはほんとうに貴重な良い機会だった。アメリカのものはぼく自身が集めたものもお預けして展示に使っていただいた。よいものは個人で所蔵して手に取りそして時には使いながら大切にするのもよいがこのように広く多くの方に公開して楽しんでいただけるのはスリップウェアというものの認知と理解を得るためにはもちろんのこと、ついつい閉鎖的になりがちな蒐集ということの社会性という点でも有意義なことで有難い機会だった。
 スリップウェアはアメリカのものとイギリスのものをこうして同時に眺めて比べてみればその類似性と同時にそれぞれの違いもはっきりと見える。イギリスのものは大きいものが多く厚手でかたちも骨太で紋様も大胆ではっきりとしている。黒と黄色の対比は調子が強く鮮やかである。一方アメリカのものは紋様の線も細くてたどたどしいようなものも多く、赤茶けた地の色になじんでしまって紋様はあまり目立たないものも少なくない。かたちも浅くて小さいものが多く薄作りで、陶器としての質も焼き上がりはより柔らかくもろい印象である。
 ぼくの好みからするとイギリスのもののほうが余程好きで、両方並べればへなちょこなアメリカのものは吹っ飛ばされてしまうのではないかとも想像していたが、予想外にそれ相応の存在感で対峙していたのは意外なことでもあった。現代のアメリカ文化からすればこう表現してはちょっと不似合いな感じはするが実のところこの時代のアメリカの工芸はやきものにしても家具などにしてもヨーロッパのものに比べればより渋くて実直な感じのするものが多いような気がする。これは今の目で見ても実用工芸としては好ましい性質であり、両国のスリップウェアの印象にしてもやはりそういうような感じがする。地味なアメリカのスリップウェアはなかなか好ましい。
 





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Last updated  2008.07.31 23:29:56
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