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2008.07.23
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カテゴリ:うつくしいもの



 いよいよ夏も真っ盛りで暑い毎日が続いているが、ここ数日炎天下で外の作業をしていたら身体もすっかり疲れ果てて気持ちまでぐったりとしてしまった。地元のゾンネ・ウント・グリュックというお気に入りのパン屋さんに時々行くのだが、ここで初めて見付けた星形のお菓子を買う。普段はライ麦を使ったドイツパンやフランスパンか食パンなどを選ぶことが多いのだがちょっと甘いお菓子が欲しくなったのです。

 お菓子や料理の成型や装飾はしばしばやきものの仕事ととても似ているように思うのです。
このようなカップケーキがどういう型の使い方をしているかというふうなことがふと気に掛かったりするのです。

 白無地のお皿はフランスの ジアン社で1871-5に作られたものだそうで、近ごろ人気の古いオランダデルフトでなくても全くひけを取らない。器の底を見れば高台も削られており中央にはロゴマークも押されているのでああいう素朴な手仕事よりは余程変化してはいるがその確かなかたちと釉薬のうつくしさはむしろデルフト以上に好きな感じだったのでよろこんで求めた。雑誌か何かでフランスのお皿としてこんな感じのものが紹介されていたのを見て気になってはいたが実際にこれほどよいとは思い掛けないことだった。
 普段使い用にと思って二枚求めたのだがもう一方は1886-1938までのわりに長い期間用いられたロゴが押してあり、この二枚の皿が作られた間に同じメーカーのほぼ同寸同型の無地のものであるにも関わらず様々な製陶技術上の変化が見てとれるのも面白い。第一に素地が違う、おそらくは釉薬が違う、窯詰の方法や焼きかたなども違う。これらは全く別物でありそれぞれにうつくしい。東洋のやきもの屋としては不思議な事だらけの全く別の系譜の技術の発展を見る事は大変興味深い。
 こういう紋様もない白無地のものはそういう美意識に裏打ちされたものだろうとも思うが、またこれが同時代の紋様のあるものと比べればいかにも手間もコストも省いた普及品であることを感じずにはおれない。ところがそういうものが時代も文化層の違いも超えて今の日本でさえいかにも使いやすく、またただ眺めていても少しも飽きないうつくしさに恵まれているというのは不思議といえば不思議な気がする。古いほうは特にその使い込まれた風合いが無地をすでにただの無地ではなくしているのだが、こういうものを目が味わう感性というものはいかにも日本の数寄者にとっても馴染みのあるもので、茶人が朝鮮の粉引などを見る目と何も変わらない。





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Last updated  2008.07.24 06:58:50
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