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テーマ:最近観た映画。(40149)
カテゴリ:映画
フェリーニの「道」という古い映画を観ました 1954年の作品
海辺でたくさんの兄弟と暮らす貧しく知恵遅れの娘が、1万リラで大道芸人の粗野な男に売られていく 男は娘に芸を厳しく仕込んで、ピエロの格好をさせて、一緒にドサ周りをするのだが ある日、男の粗暴な態度に閉口した娘は、逃亡を企てる しかし、すぐに連れ戻されてしまう その後も何度か、逃げ出す機会はあったのだが 結局、彼女は男との生活をする道を選んだ そうしているうちに悲劇が起きてしまう 主人公は、娘といっても、実際には当時30代の女性が演じている フェリーニ監督の実の奥さん このへんがちょっと違和感のあるところですが 身体が小さくて、童顔なので、ままそれらしくは見える 相手役の男も大男でしたしね 徹頭徹尾 可愛そうな娘の物語 悲哀に満ちていた 男は無神経で損得勘定しかしない乱暴者 対するに、娘はやや知恵遅れなものの、心は無垢で清純で という設定 まるで可愛い子犬のような 終いには、それこそ動物のように捨てられていくのだが なんとも後味の悪い話だったが 最後に、男は反省したのか、孤独に苛まれていたのがせめてもの救いか 彼女はどうしてこんな男との生活を選んだのか 逃げ出す機会はいくらでもあったのに あるとき同業者の別の芸人に、こんな話を聞かされる場面があった 「私はなんの役にも立たない この世で何をしたらいいのか」 と娘が泣いてふさぎこんでいたところ その芸人は言った 「あの男は可愛そうな奴だ お前以外に誰が奴のそばにいられる? 俺は無学だけど、なにかの本で読んだ この世の中にあるものはすべて何かの役に立つんだ こんな小石でも この石が無益ならすべてが無益だ 空の星だって同じこと お前もなにかの役に立っている アザミ顔のブスでも」 そういって落ちていた小石を拾って娘に渡した すると彼女はパッと顔が明るくなり、その小石を見ながらしきりと頷いていた すくなくとも自分はあの男に必要とされている存在なのだ、と思ったようだ 現状を受け入れることに価値を見出そうとしてしまった この世に無益なものはない 役に立たぬものはない・・・ 一面の真理ではあるが やはり、この娘は男を捨てて他へ行くべきだったのだ むしろ、そうすることで、きっと娘は生きる意味を見出しただろう 男は男で、娘を失うことで、かえって、その意味を見出しただろう だが、この話ではそれに気づくのが遅すぎた どんな美辞麗句や真理を聞かされたところで それを活かすも殺すもその人次第だ 知恵ある言葉も、愚かさの前では役に立たないどころか かえって道を誤らせるきっかけになることすらある 知恵ある言葉は仙人や聖者ごときが山上で呟くものだ 下界で四苦八苦する我々にはときに遠い言葉でもある それを理解するにはやはり地道に山を登らないといけない そういう努力も向上心もないところでは、真の理解も及ばない 言葉だけを猿真似し、字面をただなぞると、かえって痛い思いをするかもしれない だからといって、所詮、理解できぬ言葉、としてそれを放棄してしまうのは愚かさの上塗りに過ぎない 「あの男は可愛そうな奴だ・・・」 とも芸人は言っていたが 「かわいそうだから」 なんというのは、ただそれだけでは浅知恵な動機ともなる カント曰く動物的な本能にも近い 「かわいそうだから」でいろんなものをだめにしてしまうことが多々あるものだ 今の世でも社会問題にもなっていますが 娘は、DVを受けていても逃げ出せずにいる人達の心理にも似ていましたね あの人には私がついていなければいけない かわいそうな人なんだ・・・ なんだか腹立たしいような話でもあった 男と娘は、旅の途中、修道院に泊まらせてもらうことがあった そのとき、娘はそこの修道女に、ここに残っていったら? と誘われもしたのだが それが男から逃れる最後のチャンスだったかな しかし娘は泣く泣く男とそこを立ち去った 実は夜中に、修道院にある銀細工を秘かに盗む手伝いを、男に無理強いさせられていたのだ 罪の意識にも苛まれたのだろうか 別れの場面では、しきりと泣いていた 娘役の演技は、実際に道化師役をやるせいもあってか、すべてが道化風に見える 可愛い笑顔も、哀しい顔も、作り物のピノキオのようだ その笑顔がかえって悲哀を感じさせたり 哀しい顔には、アンデルセン物語のような残酷さも感じましたね あの独特な表情が脳裏に焼き付いてしまって 永らくまとわりつきそうだ まずいものを観てしまった😆 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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