うちの子が結婚しないので (新潮文庫) [ 垣谷 美雨 ]
<内容紹介より>
老後の準備を考え始めた千賀子は、ふと一人娘の将来が心配になる。 28歳独身、彼氏の気配なし。自分たち親の死後、娘こそ孤独な老後を送るんじゃ……? 不安を抱えた千賀子は、親同士が子供の代わりに見合いをする「親婚活」を知り参加することに。しかし嫁を家政婦扱いする年配の親、家の格の差で見下すセレブ親など、現実は厳しい。果たして娘の良縁は見つかるか。親婚活サバイバル小説!
あら、ちょっとタイトルが面白いではないですか。
我が家にも20代半ばの娘がいるのでちょっと読んでみようかしらという気になりました。
マッチングアプリ、街コンとか聞くし、利用して彼氏が出来たという若い知人もいます。
親婚活も言葉では聞いたことはあったけれど具体的にはよくわからない。
寺婚活なんていうのもあるのですね、この本で初めて知りました。
初版が2019年、わずか5年で親という立場である者の考え方が大きく変わるとは思いません。
となると、同じ娘持つ身として私は少し変わっているのかしら。
特別な資格を持っているわけではない、
れいこちゃん(私の大好きな元宝塚月組トップスター月城かなとさん)のような
万人受けする圧倒的美形でもない。
加えて恋愛に積極的なようには見えない。
うーん、うちの娘も似たようなものだけれど・・・
娘を思う気持ちが浅いのか、私って冷たい親なのかしら。
それともあと2~3年経ったら、ここに登場する親たちと同じように考えるようになるのかしら。
なんて思いながら、でも読み物として楽しく読みました。
日常の中でも婚活でも、有利なのは美人、家柄、学歴、職業。
そして年齢も大きく関わる???
男性は自分の年齢を棚に上げて結婚相手は若い人を好む。
なぜならば、やっぱり子どもは欲しいから、40代だと子どもは難しそうだから。
なるほど、まあそうですけれどね。
シングルでも充実した人生を送っているのは魅力的で財力がある女性。
ごく普通の女性が一人で一生暮らしていくのはなかなかに難しい。
親はいつまでも子どもをサポートすることは出来ない。
子どもが親世代になった時に、パートナーがいないでは心配だ。
確かにそうなのですが・・・
昨今、特別な何かを持っていなくても、物凄い美人ではなくても、
本人がそれで良いのであれば独身を通すのもごく普通の選択肢。
私の同級生でもずっとシングルの女性が複数います。
彼女たちは特別な資格を持っていたわけではないし、
道行く人の誰もが振り返るような特別な美人というわけではありません。
でも女性の目から見ても明るくて可愛い女性です。
大学時代の後輩の中には一流会社に就職してシングルのままバリバリ働いている子もいます。
仕事は大変ですー、と言いつつも、きちんと自分の時間も作って充実しているようです。
方や早々に結婚をして子どももいるけれど、早いうちに離婚+再婚
(私の周りではこのパターンは男性の方が幸せそう)。
あるいは、子どもがある程度大きくなるのを待って満を持して離婚した女性もいます。
え?離婚したの?そうなのね・・・えっ、あなたも離婚していたの?
年に1~2回程度のスパンで会うのだけれど、会うたびにこんな会話が続いた時期もありました。
更には、学生のうちにデキ婚(今は授かり婚?)をしたけれど、
1年後には元の姓に戻っていたということも身近でいくつも見ています。
そうなると必ずしも結婚することが幸せだとも思えなくなっているのです。
もちろん娘が将来絶対に結婚をしたいという希望があるのであれば叶えてあげたいと思いますし、
親がいつまでも頼りになる存在であり続けることは出来ないということも分かっています。
いざという時に頼れる人がいることはとても心強いのはもちろんなのですけれど。
それでも、無理に結婚のメリットばかりあげ連ねて、
「結婚した方が良い、安心よ。
さあさあ早く婚活始めた方が良いと思うわよ」
などという気持ちには今のところならないのです。
親がどうこう言って、素直に受け入れる娘たちではないからかな(笑)
読み始めて序盤から、ラストはこうなるのではと予想していたのですが、大きく裏切られました。
親婚活大成功おめでとう!でした。
婚活をする中で男性、相手家族に対する目も養えた上での大成功。
親婚活オススメですよ~という締め方です。
どのようなラストを予想していたかと言えば、
婚活を重ねるにつれ、化粧、ファッション等がどんどん上達していくので
婚活ではなく自然な出会いがあって結婚に至るのでは。
な~んて思っていたのですが、それではベタすぎでしたね。
婚活ってどんなものかを知るにはとても良い作品でした。
親子ともに心身の疲労、不安、怒り等々。
相当にしんどいということが良くわかりました。
さて、数年後に私はどういう気持ちになっているのかな。