鼓童と共に「坂東玉三郎講演会~演じるということ2016~」
「じぇりさん、今年も開催されるよ」と昨年の講演会を教えてくれた友達からメール。 !! 待ってました !!駿河台キャンパスへ、玉三郎さんの公開講座を聞きに行きました。昨年奇しくも前後の席で参加していた憧れの女性はお隣り。「それにしてもよく降る雨だねぇ」坂東玉三郎講演会~演じるということ—2015友人も興味を示してくれて、お母様もご一緒だったので始まる前から楽しいおしゃべり出来て、ハードな日が続き、疲れていた私には何よりの癒しの時間。幕が開いて、目の前に玉三郎さんの姿が見えた時、そして、こちらにお顔を向けていらっしゃるのがわかった時のあの高揚感は例える言葉も容易に見つからない。起きているのに、夢を見ているみたい。いえ、勘違いとは十分存じておりますのよ。対談相手の明治大学土屋恵一郎学長を見る為に体を向ける角度がたまたまそうだったんだけど。土屋さんという明治大学の学長さんは自由で少年のよう。功績をあげた立派な俳優さんをお招きして、というスタンスでなく歌舞伎についても演目や場面について具体的な名前をあげながら感想を述べたり、質問をなさるので玉三郎さんも終始にこやかで和やかな対談。玉三郎さんくらいになると、お仕事ぶりなどはこれまでに数えきれないくらい紹介されているから、ここでしか聞けない核心をついた質問は、参加している玉三郎さんのファン、歌舞伎のファンにも新鮮で良かったのじゃないかしら。昨年は対談相手の齋藤孝さんが教授であることから、歌舞伎を知らない明治大学の学生の質問にも、丁寧に優しく応える玉三郎さんの姿が印象的だった。そして今回は、相手が学長という大人で、しかも古典芸能に造詣が深い、そのうえ憧れの玉三郎さんに会えた嬉しさで端から見ても、微笑ましいくらいな土屋さんに対し玉三郎さんは胸襟を開いて、なんでも答えましょうという受け止め方で、懐が深いというか。相手のスケールに即して対応できる。そんな男らしい玉三郎さんを見られるのは、この講演会の最大の魅力じゃないかな。鷺娘や道成寺などをまた踊ってほしいと請われた時も(それは、会場全体の願いでもあるけれど)体力的にもう踊れない、「今の自分に合った踊りがあると思う」と明快。潔い。第二部は、35周年を迎え、8月にはサントリーホールで記念公演を控えている鼓童の実演。去年の今頃は、松本城で鼓童の演奏を聴いたことを思い出し、(そうだ!しかも、もっと近くで観たい!とあの時切望した)こんな風に願いが叶ったことにも感動。6人で演奏する中に女性が一人いたので、男性についていくのタイヘンだろうと思ってなんとなく応援するような気持ちでいたら、始まってビックリ。(勝ち負けという言い方は不適切だろうけれど)男性に負けてない彼女の生み出す音の力強さ。お腹にズン!とくる響き、太鼓の演奏の素晴らしさもさることながら私の心を捉えたのは玉三郎さんのまなざし。鼓童のメンバーに注がれる何とも言えない優しいあったかい視線。その人らしい良さが出されるような紹介をして、発言の機会を作り、(太鼓の時は新人らしからぬ堂々と生き生きとした演奏を聴かせてくれるけれど)一人で発言するのは慣れなくて緊張している若者たちが、玉三郎さんの目を見ていると安心して話せる…の図が、感動的だった。ええい‼ 説明の言葉ももどかしい。きっと厳しいお師匠さんなのは間違いないけれど。尊敬と信頼と愛情がそこに見え、(幼い子へ向ける親のよう)女形の時の孤高の芸とは対極の人間・玉三郎の魅力に圧倒された。興味深い話がたくさん語られたけれど、個人的に特に嬉しかったのは中国で昆劇「牡丹亭」を演じた時のエピソード。シネマ歌舞伎で観て心を打たれた作品。欲をいえば、もっともっと聞いていたかった。そう言えば、この映画を一緒に観た友人とこの講演を聞いているのもご縁だわ。昆劇「牡丹亭」シネマ歌舞伎で。東劇で観られるシアワセ!June 3, 2009玉三郎さんが土屋学長におっしゃっていたことが実現し、それが、来年の講演会の場になるといいのですが。私達も参加できる僥倖に恵まれますように!