「秀山祭」歌舞伎座 ~福助さんの八ツ橋と「鬼揃紅葉狩」
秀山祭大歌舞伎 初代中村吉右衛門の生誕120年を記念して9月の東京・歌舞伎座で公演されています。秀山は初代吉右衛門の俳号です。現・吉右衛門さんが初代吉右衛門の当たり役を演じます。幸四郎さんと吉右衛門さんのお母様は初代の一人娘さん。跡取り娘の結婚。松本家に嫁ぐ時、「男の子を二人生んで、一人を養子にする」ことで恋をあきらめずにすんだそうです。そうして生まれたのが幸四郎さんと吉右衛門さん。吉右衛門さんは祖父の養子となったのです。大好きな染五郎さんが出演するので雨の中、東銀座へ。日曜日、それも午後に一幕見に来るのは初めて。最近はすっかり幕見づいている私ですが日曜日はさすがに長蛇の列。吉右衛門さんが良かったです。さすが!さすがでございます。「初代は、今の方が見ても引き付けられる役者だと思います。だからこそ名優なんでしょう。今回の公演をご覧いただき、『この何倍も初代は良かったんだな』と思っていただけたら」吉右衛門さんの初代への想いが伝わってくるような舞台でした。初代吉右衛門と六代目歌右衛門の顔合わせで評判を取った「籠釣瓶花街酔醒」は、大叔父歌右衛門の芸を継承する中村福助が傾城八ツ橋。傾城ってその名の通り城を傾ける=国を滅ぼすほどの美女のことです。花魁道中の八ツ橋。艶やかでした。吉右衛門さん演ずるところの真面目一筋の男の人生を狂わせるほどキレイじゃないと、このお話は成立しないから。愛想尽かしの報いで男に斬られてしまい「あ~」と思って見ているこちらをグッと反り返る最期。海老反りの表現が適切なんでしょうが荒川静香さんのイナバウアーが最初に浮かんじゃった。ビックリしたけどちょっと試してみて、シロウトはできないから!!哀しい表情でゾクッとする美しさ。九重役の芝雀さんもいい役でした。去年の秋に観た加賀見山の時に大姫だった隼人君大きくなって見違えました。今度はセリフもたくさんある役だけど爽やかで伸びやか。他の子役さん達もみんな熱演して場が和んで。温かな拍手をもらってました。そして、いちばん楽しかったのは染五郎さんが大活躍の鬼揃紅葉狩(オニゾロイモミジガリ) 美しいお姫様が一転して鬼女に。恐ろしい形相に変わり赤い髪を振り乱しながら踊る染五郎さん。ここは、隼人君のお父さんの信二郎さんの涼しげな二枚目ぶりもよかったな。染五郎さんは大好きなのでどうしてもひいき目に見てしまうけど・・・・・・。だって、色っぽいんだもん。一幕目の若衆は弱々しく小さく見え、お姫様の時は優美な立ち居振る舞い、(蝉しぐれの時の男らしい人と別人のよう)いったん鬼になってからは大胆な動きを見せてくれて楽しい、楽しい。歌舞伎は、詳しくないけれど楽しいものに理屈はいらないよね。幕見は、全体的に見渡せて気軽で良いけれど、次回は久しぶりに、1階の花道が見える席に座りたくなったくらい、感激、観劇!ずうずうしく マウスで染様を描いてしまいました