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テーマ:演劇だって仲間に入れて(80)
カテゴリ:演劇
柄本明一人芝居 「風のセールスマン」 ―別役実 初の一人芝居 書き下ろし― 紀伊國屋ホールにて 開演まで時間があったので2階で立ち読みしたりしていたら「せりふの時代」に戯曲が掲載されていることに気づいて、本も購入。 緞帳が上がると「風のセールスマン」と書かれた大きな文字がぶら下がり、風に吹かれてちぎれて落ちる。舞台には電信柱とバス停とベンチ。 セールスマンは大きな古い鞄とこうもり傘。歌いながら登場。 別役実さんて、私の若い頃からものすごくブレイクしていて、失礼ながら大分お年のはずなのに、その筆力は衰えない。 柄本VS別役ってやっぱり観せてくれた。さすがだわ。 実はものすごい悲劇のどん底にいるのに淡々と生きているように見えるセールスマン。 心と体が一体になって澱みがない演技。 以前モスクワ芸術座のセルゲイ・シェンタリンスキー氏のワークショップで、何度も繰り返された言葉「見せつけないで」を思い出した。作為のみえる演技ほど恥ずかしいものはないから・・。 段取りが見えなくなるまで追求され、構築された、気持ちの流れ、変化。ところどころ台詞を言いなおすところがあっても、自然体なのだ。 始めの文字と同じように、風に吹かれて流されて、自分の存在も心もとないセールスマンに、自分は違うよ、と思いながらも、どっか似てるかもと、鼻の奥がツンとなる皮肉な哀愁を感じた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年04月29日 02時16分57秒
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