「安楽兵舎 V・S・O・P」
先日、埼玉にある劇団埼芸の公演「安楽兵舎 V・S・O・P」を観てきましたこの作品は20年くらい前に青年劇場で上演された、ジェームス・三木さんの作品です月日がたって、実は私もそろそろ身につまされる年代になってきたし、青年劇場の埼玉県在住だったTさんにも勧められたのでさいたま市まで行ってきましたこの題名のVSOPはお酒じゃありません「ベリー・スペシャル・オールド・パワー」の頭文字ですこの作品はつまり、近未来を想定してあって、その時代の自衛隊はすべて70歳以上のお年寄りで構成されているという設定ホテル並みの素晴らしい「安楽兵舎」で国を守る気概に「生きる張り合い」を得ている「糖尿部隊」の面々と「婦人部隊」のお姉さま方が主人公です他に「高血圧部隊」「寝たきり部隊」など様々な部隊があって、どの部隊も最先端の医療を受け、お給料までもらっている国防と高齢者福祉を一体化させた画期的な国家政策は日本だけでなく、地球的規模で実践されつつあるというのです1幕ではそんな自衛隊の理想の生活ぶりが、なんとも微笑ましい「下ネタ」も入って展開され、観客席の特にオールドパワーの皆さんも「人生まだまだ捨てたもんじゃないぞ!」とでもいうような活気に溢れた大笑いが続発しかしこの作品の肝はその先から実はものすごく皮肉で重いメッセージがあるのよね観終わってから私が初めに言った感想は「国家は人間を守らない。だから私も頑張って生きなきゃ」です。なぜそう思ったかというと・・・・・この先、ネタバレですよ~。。。。。。。。。。。。。2幕になると、この自衛隊に海外派兵の命令が下る。隊員たちは「形式的なもの、海外旅行だ」と浮かれている。ところが実は「高齢化」に悩む国々の共同の陰謀で、ヒマラヤに各国の高齢者の自衛隊員を集めて一気に核爆弾で全滅させようという計画だったことが判明するこの陰謀を阻止し、マスコミに情報を流そうと安楽兵舎にたてこもる隊員隊に政府は機動隊を出動させるジェームス三木さんは会長を務めておられる「みなと9条の会」でも「国家」と「われわれの故郷・祖国である日本」を混同しないようにというお話をされていたと思う。戦争を始めるのは「国」という名の「政府」。世界も注目するタカ派の首相を再び誕生させてしまった今、誠にタイムリーな企画だったと思う。