カテゴリ:オペラ
ウィーン国立歌劇場「ロベルト・デヴェリュー」G.ドニゼッティ作曲
11月 8日(土) 3:00p.m. 東京文化会館 <主なキャスト> エリザベッタ(イングランド女王エリザベス一世)ソプラノ:エディタ・グルベローヴァ サラ(ノッティンガム公爵夫人、エリザベッタの女官、ロベルトの恋人)メゾソプラノ:ナディア・クラステヴァ ロベルト(エリザベッタの寵臣、エセックス伯)テノール:ホセ・ブロス ノッティンガム公爵(ロベルトの友人、サラの夫)バス:ロベルト・フロンターリ 指揮:フリードリッヒ・ハイダー ウィーン国立歌劇場管弦楽団 ウィーン国立歌劇場合唱団 話としては、オペラによくある三角関係の悲劇。 老齢に達したエリザベス1世(エリザベッタ) の愛人エセックス伯ロバート・デヴルー(ロベルト・デヴェリュー)と彼の恋人のサラ、彼の親友でありサラの夫・ノッティンガム公爵らの愛と嫉妬が交錯する。 それに史実でお馴染みの、エリザベスに対して反乱を起し捕らわれたエセックス伯ロバート・デヴルーの処刑までが描かれる。 あまり上演されないこの作品を、しかも演奏会形式(舞台上部、左右に反響板、オケ後方に合唱団(男声、女声とも1列7人×4列の28人ずつ)、その前にオーケストラ席、全面に歌手という形式)での上演ではあるが、実現できたのは、いまや伝説となりつつある世界のコロラトゥーラソプラノ/エディタ・グルベローヴァの存在があってこそといった感である。 わたしが、グルベローヴァの生の声に出会ったのは、二十年くらい前・・現在、彼女は、62歳であるから40代に入ったころかも知れない。その時の驚きと興奮は筆舌につくしがたい。 当時、人気絶頂だった★キャスリーン・バトルの演奏会で、ちょっとがっかりした後だっただけに、わたしの全身を震わせ圧倒した声は、わたしを、オペラのおもしろさに目覚めさせたきっかけのひとつであることは間違いない。 しかしながら今日の彼女には、20年前にわたしを興奮のるつぼに陥れた、かつてのような人間とは思えない幅広い音域を苦も無く自然に歌いこなしていた面影は、残念ながらなかった。 さすがに年齢的な衰えは隠せないのだが、しかし、聴かせどころでの声のコントロールの自在さは健在で、気品と貫禄をあわ持ち、エリザベッタ(エリザベス1世)として舞台に君臨していた。 愛するロベルトの心がすでに自分には無いことを知った絶対的権力者である老いた女王が、一人の女性として嫉妬し苦悩しながら、反逆者として捕われた彼を裁かなければならない葛藤と、その哀しみ。 終幕近く、ロベルトの死刑執行を知り、一人の女性として狼狽し狂乱するエリザベッタが“王位をジェームズに!”と絶唱するさまは、やはりグルベローヴァならでは、圧巻である。彼女の声と演技は、老いてもなお恋する情念の凄味と美しさを魅せて圧倒された。 その他の出演者も好演。グルベローヴァの夫君であるハイダー指揮にも、彼の誠実さが出て好感。演奏会形式とはいえど、緊張感溢れ引き締まった演奏とすばらしい舞台だったが、ただ、今回以外の歌い手たち(特にグルベローヴァ以外)が、これを演じるとするなら、舞台はものたらないものとなるであろう。今日の演者たちだからこそ、この演目を魅力的にできたのであり、私的には、音楽的な魅力は薄めである。 今回、グルベローヴァは、衣装にも配慮して三回の着替えをし、聴衆の目も楽しませてくれました。 第1幕第1場:白い毛皮をあしらった豪華なケープ付きの白のロングドレス 第1幕第2場~:左に花をあしらった高貴なロイヤルブルーのロングドレス 第2幕:ゴールドラメのレースと刺繍が豪華なロングドレス また「ウィーン国立歌劇場2008年日本公演」の千秋楽だったためカーテンコールに『祝・大成功!2012年にまた会いましょう!』と書かれた吊り看板が下りて来た。さて、2012年、どんな舞台を魅せてくれるのか、演目、歌手、指揮者は、などなど、楽しみではある♪ ★キャスリーン・バトルは、ニッカウヰスキー(1986年夏)のコマーシャルに「オンブラ・マイ・フ」を歌って出演し、絶大な人気を得た。ただし、この時のCMは、フランス映画「ディーバ」(見ている)での黒人ソプラノ歌手そっくりの誂え(髪形、衣装がそのまま)で、CMを見た時にあらっと思ったら、やはり、そちらから拝借したらしい。 本日のきもの:御納戸色の七宝地に繊細な紅葉の刺繍の訪問着(山○美術の一品)、正倉院模様の袋帯を締める。 あまりに地味なので、せめて半衿は豪華にと塩瀬に柿色濃淡と翠色濃淡の総刺繍(それでも地味~という声をいただく)。お天気も悪く寒いので寛文菊模様の長羽織を着る(この羽織は、男女とも好みの方が多いらしくいつも評判がよい) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 17, 2008 06:28:01 PM
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