日米関係:米国とは揉めてるくらいがちょうどいい(前編)。
さて、「かみぽこ政治学」です。今日は、「普天間基地移設問題」について、書いてみたいんだよね。正直な話ですがあんまり書きたくはないんですよね。。。(苦笑)まあ、1つよろしくお願いしますよ。まず、「普天間移設問題」を簡単にまとめるとね、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を沖縄県名護市沿岸辺野古への移設するという日米政府の合意を鳩山政権が再検討しようとしていることだ。鳩山政権は9月の発足直後から、この問題について岡田克也外相、北沢俊美防衛相や連立パートナー社民党党首でもある福島みずほ少子化担当相らがさまざまな発言を行い、議論が沸騰した。この状況下で鳩山首相は、自らの発言が二転三転したりしたが、「最後は私が決める」とは、言い続けてきた。しかし、結局、鳩山首相は移設先を決めることもなく、結論は来年に先送りし、与党3党で協議機関を作って検討することにした。これは、事実上の日米合意の白紙撤回ともいえるもので、結局、鳩山首相はなにもしなかったに等しい,指導力を発揮しなかったとマスコミや野党・自民党、そして米国から厳しい批判が浴びせられたわけだ。その上、鳩山首相は11月の日米首脳会談でオバマ大統領に対して「私を信用してほしい」と言ったわけでね。その結果が、すべての合意を白紙に戻して、結論を出す時期もわからないでは、日米同盟の信頼関係そのものが失われてしまうと批判されているわけだ。更に、「指導力」や「信頼」の問題だけではなくもっとテクニカルな問題がある。市街地にある普天間飛行場は離着陸機による騒音など生活被害の解消、米軍機墜落による周辺住民の危険性などさまざまな問題があるとされている。その普天間飛行場が現状のまま固定化される懸念や、もっと大きな「米軍再編問題」へ悪影響を及ぼすことが懸念されているのだ。うん。。。それでは、ここからはこれらの批判について考えてみたいと思うんだけどね。まず、鳩山首相を始めとするさまざまな閣僚や連立パートナーが好き勝手に発言して乱戦模様になっていることについてだね。これは、自民党政権時代と比べてみるといいんです。自民党政権時代にはこの政策を巡る喧々諤々のやりとりは外務省や防衛省などの官僚がやっていたのである。そのやりときに閣僚が入ることは基本的になかった。もちろん、官僚は自民党の大物政治家や防衛族議員の了承を得ながら動くわけだけどね。でも、そこでおもしろかったのは、政治家の間で意見が異なっても政治家同士がやり合うことはなかったということだ。政治家と政治家の間を官僚が走り回って調整していたということ。まあ、政治家同士が直接対峙するのを官僚が抑えていたということだろうね。それでも、たまに調整の途中である政治家の発言がポロッと出てくることがあるわけだがけど、それは「不規則発言」として処理される。そして、その政治家の役職を外したりして沈静化させたわけだ。そして、省庁間や米国とすべての調整が終わった後で、始めて首相や閣僚が出てきて発言できたということだ。そして、そこでの政治家の発言は「結論」と見なされる。一方、鳩山内閣の閣僚発言は「結論」ではないんだよね。官僚の調整を経ていないものだからね。それどころか、実は、調整そのものを閣僚が行っている過程でマスコミからマイクを向けられて持論をしゃべったものなのだ。つまり言いたいのは、鳩山政権の閣僚たちの発言は「政策調整の過程で話されたもの」で、自民党政権時の政治家の発言が「政策調整の結論を話したもの」だったものとは、基本的な性格が異なっているものだということだ。もっと端的に言えば、「政治家が自分の言葉でしゃべっている」ということであり、「政治主導で調整している」ということなのだ。そう考えて閣僚発言を聞き直すと、まったく違った意味に聞こえてこないだろうか?別の言葉で言えば、マスコミや自民党が鳩山首相や閣僚の発言を調整を終えた「結論」と捉えて、それが二転三転したり、閣内で一致していないことを批判するというのは、ピントがずれているということだ。マスコミはこれまでの「政治家の発言は結論」という固定観念を少しは捨ててみる必要があるんじゃないかな。ちなみに、この鳩山内閣のような政治家による百家争鳴のやりとりは、英国の内閣では日常的に当たり前のことなんだよね。英国のマスコミは、それをいちいち「閣内不一致」「不規則発言」などと騒ぐことはない。閣僚が調整の過程で意見をぶつけ合うのは当たり前のことだからね。まあ、閣僚の百家争鳴はそれはそれとしても、結論先送りに至ったこの3か月の過程は、米国の信頼を失ってばかりでトホホじゃないかということだけどね。でも、それは悪いことばかりでもあるまい。結論的に言えば、普天間問題について自民党政権期にはわからなかったことを国民は相当なまでに知ることになった。つまりは、いつも繰り返してことだけど民主党の文化であるところの「情報公開」が進んでいるということだ。なによりもまずわかったことは、「沖縄県民は、日米合意にまったく納得してなかったじゃないか」という、シンプルな事実を明らかにしたことじゃないかな。そもそも、これまで「住民投票」とか「世論調査」で普天間基地の辺野古への移設容認が多数となったことはなかったらしい。まあ、それだけなら数字上のことだけともいえる。自民党だって、これまで移設容認派が首長選挙で当選していたじゃないかと言いたいだろうしね。でも、数字よりもなによりも鳩山政権の登場によって、これまで無視されてきた県民の生の叫びが実際にどんどん出てくるようになったことが大きい。そして、自民党政権下では、米国との合意の前提となる日本国内での合意形成に大きな問題があったと言わざるを得ないということを国民は次第に認識するようになっている。つまり、「日米合意は重い」の一言で、一切の検証を許さずという自民党や外務省の態度というのはいささか乱暴だということだ。私は鳩山政権に対して常々思うことは、普天間移設問題だけでなく、国内問題でもいろいろとバタバタしているけれども、その元凶はすべて自民党政権と官僚だということなんだよね。鳩山政権はそのへんもうちょっと自民党に責任を押し付けちまえばいいんだろうと思う。それなのに、真面目に政権を担いすぎなんじゃないだろうか。例えば、あの「事業仕分け」を視察した際に思ったんだけれども。「業界の利権」とか「公益法人への補助金」とか、そういう言い方はしても「自民党族議員の利権」という言い方を民主党の政治家は全くしなかったのは印象に残ったね。また、仕分け人に突っ込まれた官僚がうまく答えられない場面が多かったのは「それは自民党政治家の圧力でやったことだから。。。」というのが本当の答えだったんだと思うよ。それはさすがに言えないからね(苦笑)。シドロモドロになったんだろうね。そういう意味では、事業仕分けによって本当にさらしものになるべきは自民党の族議員だったと思うんだけどね。民主党は生真面目に官僚を相手にして無駄の追及に専念したんだよね。これはこれで、立派なスタンスだけど、政治的な戦いとしてはちょっと物足りないと思ったね。話を元に戻しますが、普天間移設問題に関して情報がいろいろ飛び交ってきたなかで「そもそも、米軍は普天間基地の海兵隊のほとんどをグアムに移転させる計画だ」という情報が出てきた。それじゃ、日本のマスコミや自民党が「沖縄からグアムに移転するのは、海兵隊の司令部が中心であり、ヘリコプター部隊や地上戦闘部隊などの実戦部隊は沖縄に残る」と説明してきたのは、なんだたったの?ということになる。。。(苦笑)これは、決して「怪情報」の類ではない。伊波市長ら宜野湾市役所が調査し、正式に公表したものなのだ。伊波市長が公表した通り、沖縄の海兵隊のほとんどがグアムに行くというのであれば、日本国内に普天間基地の代替施設を造る必要はなくなってしまう。あれ?基地問題は解決じゃないの??みたいな妙な話だ。。。(苦笑) この問題については、現在、民主党議員が官僚の説明と米国公開資料の食い違いを厳しく指摘し、「米国に再確認して回答を文書で出せ」と迫っている。今後、更に「情報公開」されていくだろうからね。今日はこの話についてはこれ以上は突っ込まないことにしますね(苦笑)。まあ、ムネオちゃんあたりが委員会でいろいろ突っ込んでくれるとおもしろいかもね。彼も元、橋本派だしね。。。(苦笑)こういう情報が出てくるというのは、鳩山政権の閣僚たちの表舞台での百家争鳴から明らかになったことで、私は一定の評価を与えたいと思う。しかし、「日米同盟」が壊れてしまったのでは、身も蓋もないと、言ってくる人がいるんだろうな?(苦笑)じゃあ、答えてあげるけど、残念ながら、日米同盟はこんなことでは壊れないんだよね。