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明日の風の吹く場所から・・

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Oct 22, 2006
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 昇からのメールはこんな書き出しから始まった。。

「初めまして。っていうか、今日はお疲れ様でした。色々失礼なこと言ってごめんなさい。でもこうして僕のメールを美咲さんが読んでくれていると思うと本当に嬉しいです。

 僕はある心の病でずっと入院してました。毎日少しずつ世界が狭くなっていくようで、そしたら誰もが僕の事を忘れて一人ぼっちになりそうで、とても怖かったです。僕は誰かと話すのが怖くて、傷つくのが怖くて、そして世界で一番不幸だと思ってました。荒れて、部屋中のものを壊したこともあります。

けど、そんな僕をある友達のメールが救ってくれました。彼女は恋人でもないのに、日々の出来事を毎日メールで書いてきてくれました。それは、僕にとってたった一つの世界への入り口でした。振り続ける雨と、真っ暗に覆われた雨雲の隙間から見えるほんの小さな、でも決して消えない光。それが彼女のメールだったんです。その光で僕の心が少しずつ癒されていきました。ある日、僕は嬉しくて嬉しくて、その彼女からのメールを抱きしめて泣きました。誰もいない病室で思いっきり泣きました。彼女の言葉の温かさと、自分自身で光を閉ざしていたことへの悔しさとで、涙が止まらなかったのです。

どうして僕はもっと光へ手を伸ばす努力をしなかったんだろう、すべてを誰かのせいにして、不幸だと思い込んでいたんだろう。。平凡な毎日の、怒ったり悩んだり笑ったり、たったそれだけの事がどれだけ輝きに満ちているのか、僕は彼女からのメールを見るまで知りませんでした。きっとそれを知らない人は多いと思います。だから僕は美咲さんに伝えたかったんです。どれだけの幸せが美咲さんの周りにあるのかを、そして、どれだけたくさんの人が美咲さんの幸せを喜んでいるかを。

彼女のメールという本当に小さな光が僕を救ってくれた。だから、僕も誰かの小さな光になって、少しでもその人の心に幸せを与えられたら、なんて幸せなんだろうって。だから美咲さん。僕はオネエの友達という美咲さんに会えて、このメールを打てるだけで幸せなんです。そして、もし少しでも美咲さんがこれを読んで幸せな気持ちになれたなら、今の100万倍くらい幸せになれます。ねぇ。なんて世界は輝きに満ちているんでしょう。僕は暗闇にいたからそれを知りました。そのことが少しでも美咲さんに伝わればいいな、と思います。 またメールします。。昇。」

そのメールを読みながら、二人は頭を寄せ合って泣きました。携帯に涙がぽろぽろと落ちて、かすんだ目をこすりながらは読み返しては泣きました。「昇くん・・」美咲がそう呟いたとき、ICUの扉が開いて、中からたくさんの人が出てきた。けれど、美咲にも真紀にも、その涙いっぱいの目には、光しか映らなかった。

(おわり)





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Last updated  Oct 22, 2006 02:36:02 PM
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