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カテゴリ:本
「カシアス内藤」のリングネームのモデルになったカシアス・クレイ。モハメド・アリに改名する以前の名前。内藤のボクシングスタイルが似てるところからつけられた。カシアス内藤を描いた「一瞬の夏」を読んでから、本家キャシアス・クレイのものも読みたくなった。 オリンピックで金メダル獲得。ソニー・リストンを破りチャンピオンになるも徴兵拒否によりタイトル剥奪 キンシャサでの奇跡のカムバック。史上初3度のヘビー級王座に返り咲き、などアリの成し遂げた華々しい業績を、またボクサーとしてのアリを語るだけでなく少年時代からタイトル剥奪期間の事、4度の結婚、イスラムとの関係、取り巻き連中との事、現在のお祈りを欠かさぬ毎日と、900ページに及びアリの軌跡をその当事者、関係者など200人を越す豊富な証言で浮かび上がらせている。 面白いのはアリの素顔の部分。カメラに向かって吼えまくるあの「ビッグマウス」のイメージしかなかったが、実は物静かで限りなくやさしいという事。めったにない事だが二人っきりでインタビューが出来た時のアリはまるで別人のように物静か、思慮深く言葉少なめに話す。だがそこの部屋に誰かが入ってきた途端テンションが急激に上がりみんな知ってるアリになる。アリはボクシングをビジネスと認識し「ビッグマウス」によるプロモートをし、演じていた。皮肉にもフレージャーはその犠牲になるのだが・・・ アリが来るとその周りは特別な場所になる。皆の表情が一変する。どこでも気軽にサインに応じる レストランで 空港で 1時間を越える。何処かに行く予定があったりすると必ずと言っていいほど時間に遅れる程。徴兵拒否の時はアメリカ中がアリを敵と見なしてたにもかかわらず。 ある時、白血病で余命わずかの少年の願いをかなえたい父が子供を連れ添ってキャンプを訪ねた。不安な父親を尻目にアリは快く迎え入れその日の午後ずっとその子と一緒に遊んでいた。普通の凄い人たちはよくしても会うだけだろう。また、どんな子供たちにもキスをし抱きしめる。路上にホームレスの老婆がいれば車を止めお金を渡し服を買ってやり泊まる所を世話する。アリは常にそうしていた。 アリは断ることが苦手で性質の悪い取り巻き連中にお金、アリの持つはずの商売上の権利などを盗られる結果となる。それも同じ人間がほとぼりの冷めたころ顔を出すとなんでも無かった様に招き入れまた酷い目にあう。神の思し召しと受け入れる。そんな取り巻きも金が底をつくにしたがって離れていった。 今も1日5回のお祈りをし朝のお祈りの後、午前中イスラム教のパンフレットにサインするアリ。 アリはパーキンソン病症候群(パーキンソン病ではない)で以前のように活発でお喋りではないが今の生活に満足している。 ジョージ・ホワマンが(彼もアリのビッグマウスで傷つけられた。また彼も40才を超えて再びチャンピオンに返り咲いた)言っている。アトランタオリンピックの聖火を掲げた時全てを許し尊敬した。普通なら人目を避けるだろうに震える手で聖火を掲げた。どれだけの人が救われたかと。 アリは聖火を掲げて言った。「私はグレーテストだ。そしてまだ生きている」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年01月19日 12時21分24秒
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