2000年のサンフランシスコで行われたMacWorldのなかでスティーブ・ジョブズが暫定CEOから暫定の文字が消えると発表できることを嬉しく思うと発表した時、会場から「スティーブ! スティーブ! スティーブ!」の歓声が瞬く間に会場全体に広がった。会場総立ちのスタンディングオベーションになった。そのときスティーブは涙をこらえて「世界中で一番才能のある人達と仕事をしている。世界一の仕事だ。でもこの仕事はチームスポーツなんだ」続けて「皆さんの感謝の心を、アップルの全社員を代表し、受け取らせていただきます」こう言った。このことがこの本の全てだろう。自分自身のこだわりとわがままのし放題。社員は一緒に仕事をするのはコリゴリと思う反面、スティーブの言葉の魔力、カリスマ性で頑張ろうと思う。大変な苦労の元成功を収めても手柄はスティーブの独り占めにする。一言も評価しない、名前も出さない。APPLEを追われ、NextとPixarの社長になるがなかなか日の目を見なかった。つらい日々も続く。持ち前の感覚と運と交渉力と押しでAPPLEに復帰、CGアニメ・iPodで映画界・音楽界・コンピューター世界で業界を塗り替え最も影響力を持つまでになった。そこで先程のスティーブの発言だ。失敗を経験し謙虚になり、子供が出来あくが抜け、年とともに丸くなり今まで以上に自分の決定に自信を持つようになっていったが、実際の作業をするのは他の人々だと理解したようだ。この本はそのコンピューター世界に長く影響を及ぼし続けたスティーブ・ジョブズの今に至るまでの軌跡だ。題名であるiConはパソコンデスクトップ画面にあるアイコンの意味と「偶像」(スティーブ自身がその世界の偶像)の意味、またiPod・iMacなどのAPPLEの製品とを掛け合わせた意味だ。