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カテゴリ:日常百態
中学校時代の同級生M君は、「ホラ吹きM」というあだ名で呼ばれていた。
どんなホラを吹くのかというと、これが実に幼稚な内容で、それが彼をいじめられっ子の身分に追いやった。 例えば、 「僕の家には地下がある。それで、そこには人工太陽があって1日中明るいんだぜ」 今思えば、何でもない戯言だけど、そんなホラの数々が彼の首を絞めることになってしまった。 体育の授業。飛び込み前転の練習中、運動神経が未発達だったM君は飛び込んだまま回転もせずにマットの上で大の字になった。みんながゲラゲラ笑っていると、「腕の骨が折れちゃった」と言う。「どこが痛いの?」と聞くと、「ここ、ここ」と指差す。「何言ってんだよ、このホラ吹きM!」と、僕はその部分をしこたまパンチした。 翌日、包帯で腕を吊るしたM君が登校した。本当に骨折していたのだった。いじめっ子だった僕は、「そんな大げさなホラ吹きやがって」と、改めてパンチしたことを覚えている。 さて、そのM君が故郷に帰ってきた。世間を騒がせた航空会社で営業をしていたが、ご他聞にもれずリストラされたのだと言う。「いっしょに飲んでくれよ」と懇願され、仕方なく付き合った。 居酒屋Aのお通しで、こんな料理が出された。 「コーヒーゼリー苦手なんだよな」とM君。 「バカ。これピータンだろ」と僕。 相変わらずいじめられっ子の素質を引きずっているM君は、現在彼女募集中。「10年前に離婚した」と言うのはウソではなさそうだけど、離婚の理由は彼のホラ吹き癖だったに違いない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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