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カテゴリ:政治
 自民党の総裁選挙がスタートした。渋谷で福田・麻生両候補による街頭演説があり、麻生氏はかなりの人気を集めたのだそうだ。予定では、このあと大阪、高松、仙台の三市でも同様の演説会をやることになっていらしい。麻生氏は党内に自分の人気の高さを見せつけて、支持を集めようという戦略のようである。残暑厳しい中、せっかく開いた国会をとめてまで、ずいぶんとご苦労である。

 それにしても、たかが一政党の党首を選ぶのに、通りすがりの一般人を相手になぜ、街頭演説会をやる必要があるのだろうか。これはどう考えても分からない。言うまでもないことだが、政党の党首を選ぶことは、基本的にその党の内部の問題なのであって、演説会をするのなら、党員集会でも開いてやるのが筋というものである。理屈だけを言えば、自民党はあくまでも数ある政党のひとつに過ぎないのであって、大政翼賛会などではない。

 むろん、政党というものは選挙で勝利して政権の奪取を狙うものであるから、党首選出では、党内の事情だけでなく、一般国民の動向や人気のいかんを考慮に入れることも必要だ。しかし、それは党首を選ぶ党員や党幹部らが、自らの責任においてやればすむことのはずだ。

 自民党の総裁選で、このような一般国民向けのパフォーマンスが行われるようになったのは、小泉が総裁に選ばれた2001年の総裁選あたりからだろうか。その背景には、自民党の総裁が事実上そのまま首相に横滑りするという状況の中で、自民党の総裁選びにまったく関与できないという、一般国民の中にある不満を解消させるという狙いがあるのだろう。だが、これはたかだかガス抜きのための、擬似的ないんちきの国民投票にすぎない。

 そもそも今回の騒動の原因は、首相を兼ねる自党の党首が、国会を開いておきながらさっさと逃亡したことにあるはずである。とすれば、自民党に求められることは、たとえ談合と言われようと密室と言われようと、速やかに次の党首を選ぶことのはずである。そのような批判をかりに受けたとしても、それはそれで甘んじて受け、そのかわりに内閣としてきちんとした実績を積み上げて、じょじょに支持を集めていけばよいだけのことだろう。

 ほんらい、政権政党としての責任とはそういうもののはずである。その限りでは、当初、幹事長として短期の日程を提示した麻生のほうが、議員総会で彼を攻撃した議員らよりも明らかに筋が通っていた (あの時点で、彼にどのような思惑があったかはまた別の問題だ)。 

 議員総会で麻生を攻撃して総裁選の日程を延長させた、小泉チルドレンなどには、総裁選をイベント化することで、世論の注目をひきつけ与党の支持率回復につなげたいという思惑があるようだ。しかし、これはまたずいぶんおかしな話だ。それこそ、国政よりも党利党略・私利私略を優先している話である。そもそも、いくら総裁選を盛り上げたからといって、それでまた、前回のようにろくでもない人を選んでしまっては元も子もあるまい。

 こういうろくでもない未熟な議員らの、ろくでもない議論に引っ掻き回されているところを見ると、自民党はすでに政党としては、ほとんど機能不全の死に体状況に陥っているようにすら見える。むろん、これもまた小泉政治の 「成果」 のひとつなのではあるが。

 自民党という政党は、もとから近代的な政党とはとうていいえない代物ではあった。しかし、国会会期中の党首辞任という緊急事態において、国政よりも自党の事情を優先させ、速やかに後継党首を選ぶことすらできないという現在の状況は、もはやこの党が、国政を担う政治家としての最低限の常識と責任感すら持っていない、お粗末な連中の集まりに過ぎないということを示しているように思える。





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Last updated  2007.09.18 04:53:17
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