そろそろ満開の桜にも、薄い緑色の柔らかい若葉が混じり始めている。植物は一定の場所に動くことなく根を張りながらも、たえず成長を続けている。蕾がふくらむと花が咲き、枝はたえず細かく分かれ、指先からさらに細い触手をふきだしながら天空を目指して伸びていく。
報道によると、福田首相は内閣支持率の低下に苦しんでいるそうだ。前内閣のときには、結構批判記事を書いたのだが、現内閣に代わってからはあまり書いていない。もともと、時局的なことはややこしいのであまり触れたくないということもあるが、福田首相の基本的な任務は、前首相であるあべっちの後始末であるという、いささか気の毒な立場にあったせいもある。
ところで、福田内閣の支持率低迷を受けて、ふたたび前幹事長の麻生太郎が動き出したそうである。
「ポスト福田」 最有力の麻生氏、足場固め着々
2008.4.11 22:09
福田康夫首相が内閣支持率の低迷にあえぐ中、「ポスト福田」 の最有力候補とされる自民党の麻生太郎前幹事長の周辺が騒がしくなってきた。昨秋の総裁選後、地方行脚に精を出してきた麻生氏だが、今年に入り、月刊誌で税制などの政策論を次々に発表するなど活動を活発化。安倍晋三前首相との 「A-Aライン」 を軸に議員交流を続けており、各派領袖はその挙動が気になって仕方ないようだ。麻生氏が描く政局展望とは…。 (大谷次郎) (以下略)
過去の記録を調べてみると、1986年7月6日の第38回総選挙(衆参同日選挙)と1990年2月18日の第39回総選挙の間に、中曽根から竹下、宇野、海部へと政権が交代している。これは竹下の場合はリクルート疑惑、宇野の場合は 「指三本」 という女性スキャンダルのせいで、どちらも短命に終わったためである。
福田首相は 「ガソリン税」 復活法案の再議決を明言しているが、選挙が近く、しかも郵政選挙での小泉人気だけで当選した独自の地盤を持たない議員らは、おそらくかなりの抵抗を示すだろう。もし、明言した法案の再議決ができなければ、福田内閣は総辞職せざるを得ないだろう。
福田首相が解散を行わずにこのまま政権を投げ出して、麻生だか誰だかに交代すれば、上の中曽根内閣に始まる記録に並ぶことになる。つまり、選挙での洗礼を受けていない内閣が三代も続くことになる。
すでに小泉政権下での郵政選挙から三年近くたっており、いずれにしても近いうちに選挙を行わなければならない。小泉内閣から安倍、福田へと二人も首相が交代しているのだが、いくらなんでも人気が低迷している現首相のもとでは、そうそう解散を行うわけにはいかないだろう。
だが、かりに解散を行わず、このまま衆議院の任期いっぱい引っ張ったとしても、それまでに内閣支持率が劇的に回復するということも見込めない。どちらにしろ、現政権のもとでの選挙ということになれば、与党の大敗は避けられないだろう。
だとすると、新首相へのご祝儀人気を当て込んで、新首相内閣を成立させてから解散総選挙に臨むという戦略は十分に考えられる。実際、宇野スキャンダルを受けて成立した海部内閣による解散総選挙では、社会党こそ議席を増やしたものの、宇野の女性スキャンダルなどにもかかわらず、自民党はその前の衆参同日選挙での伸びきった議席数より、わずかに減らすだけですんでいる。たぶん、にわかに騒がしくなった麻生の動きは、そのへんのことを見越してのことだろう。
ちなみに、このときの総選挙の前の、宇野内閣のもとでの第15回参議院選挙(1989年)は、土井たか子率いる社会党がリクルート問題や消費税、宇野スキャンダルなどによって躍進し、「マドンナ旋風」 という言葉が生まれ、土井党首が 「山が動いた」 なる言葉を発した選挙である。その結果、参議院での与野党逆転が実現し、衆参のねじれ現象が起きたということでも今の状況と似ている。
話は変わるが、森山直太朗の 「桜」 がヒットしたのは2003年であり、ややおくれて河口恭吾の 「桜」 がリリースされて翌年にヒットした。また、コブクロの 「桜」 は2005年の曲だそうだ。古いところだと、「同期の桜」 などという歌もある。
柳の下にいつもいつもドジョウがいるわけでもないだろうとは思うのだが、はてさて、どんなものだろうか。