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カテゴリ:熊本の方言
35年近く前の私の生まれ故郷で開かれた友人の結婚披露宴での出来事です。 ずいぶん歳が行ったオヤジさんが、新婦のお父さんに向かって言った言葉は 「今日でめごばらい、一安心ですなぁ」と。 えっ、「めごばらい」って何だとあとで両親に訊いた。 「めごばらい」とは娘たちが何人か居て末の娘まで全てを嫁がせることができたという 意味と教えてくれた。 「めごばらい」をネットで検索するとヒットしなかった。 ということは私の郷里地方の局地でのみ使われるものだろうと思う。 ただ、「めご」はヒットした。 津軽弁辞典によると「めご」とは目籠と書き「竹などで編んだ目の粗い籠」とあった。 私の生まれ故郷でも、この竹で編んだ籠のことを「めご」という。 「めご」はカライモや里芋など重量物を入れて運ぶもの。 そしてサスという2mくらいの長さの木の棒で籠に付いた紐をひっかけて バランスを取りながら運ぶ。昔は良く見かけていた、そして我が家にもあったが今はない。 そこで昨日、義兄宅に立ち寄り「めご」は保存していないかと尋ねたところ有りました。 これが「めご」です。 残念ながらサスという天秤棒は見つかりませんでした。 直径は60センチくらいあります。 「めごばらい」は、この「めご」に入った作物をきれいに意図的に無くした状態を 表現していると思っています。 「めご」が津軽地方で、そして南九州の一部の地区?で同じ表現ということには驚きました。 めごばらい、これは息子たちが全て結婚したときに使わず、一人娘が結婚したときにも使わず、 二人姉妹を嫁がせてしまったときに使うのもやや似つかわず、 三人姉妹以上の末娘まで全て嫁がせてしまったときに使うのが 適切な使い方だなとの思いがあります。 「これで、めごばらいですなぁ」の一言、 この言葉を使う人は、今、この世に誰一人いないかも知れません。 この言葉に込められた思い、言われたほうの新婦の父は 「懸命に育ててきた娘たちを全て結婚させることができてよかった。 これからも幸せになってくれよ」 との万感の思いが胸中にあったかも知れません。 「めごばらい」、私の大切にしたい方言、周囲の人に伝えていきたいと思っています。
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最終更新日
2014.12.27 10:15:07
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