☆たらちねの 母の命火 燃え尽くを 夢かうつつか 四日前まで
☆退院を 聞いて立ち寄る 母の顔 あれが見納め 数時間前☆知らせでは すでに手遅れ 術も無し 母のみまかる うつつが夢か☆途切れたる 母の齢は 享年で 喜寿と数えの 位牌の文字に☆うつつ世を 変わり逝きたる あの世まで 母に一言 告げたき事が☆拾五から 親子の縁が 途切れ来て 病の報で 三ヶ月前☆嫁ぎ先 母のしがらみ お互いの 秘めた往き来は 白日晒し☆総領の 嫁を介して しがらみを 越えて親子を 再び名乗る☆隠居する 母の連れ合い 義理の父 影に日向に 見守る母子☆命火の 燃え尽く日をば 我知らず 病の母に 言葉の足らず☆足らずして 悔やみ今頃 地団駄を 涙流して 声には為らず☆念仏を 唱えながらの 慟哭は 情けなき事 後悔ばかり☆涙目に 母の遺影の 微笑みが 憂いを秘めて 吾を見つめる☆挽歌詠む 三日供養の 眠られず 嗚咽のままに 日記を記す