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テーマ:☆動物愛護☆(3966)
カテゴリ:動物実験関連
本日、環境省にて「中央環境審議会動物愛護部会第3回実験動物小委員会」が行われ、傍聴に行ってきました。
今回の委員会では、現行の「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」の改正素案が出され、素案の内容をめぐって委員の間で討論がなされました。 はじめに、基準の名称に関してですが、従来の名称が「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」であったのに対し、改正案では「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」と変更されていました。 今回、「苦痛の軽減」が明記された点は、賛同できると感じました。 さて、今日の会議で、委員の間で最も意見が分かれたところは、「第3 共通基準」の「(2)施設の構造等」の項目(実験動物を飼養・保管する施設に関する項目)において、「実験等の目的に支障を及ぼさない範囲で、個々の動物が、自然な姿勢で立ち上がり、横たわり、羽ばたき、泳ぐ等日常的な動作を容易に行うための広さ及び空間を備えること」という一文を、素案に含むか否かという点についてでした。 研究者のほぼ全員、及び実験動物生産者の人は、この一文に対して非常に強く反応しており、この文を入れることに対して強く反対していました。 その理由として、「実験動物は終生飼養するわけではないので、ここまで詳しく書かず、“実験動物の生理機能を損なわない範囲”位の表現に留めた方が良い」「現状では、実験動物関連施設でこのような基準に耐えうるような所はない。生産業者としては、このような基準が告示されたら対応できず、非現実的である」「“自然な姿勢で立ち”とあるが、動物種によっても“自然な姿勢”の定義が分かれており、この表現では対応できない」といったものでした。 それに対して、日本動物福祉協会の山口委員からは「逆に、この一文だけでは不十分であり、“生活環境のエンリッチメント”についても、この基準の中で明記すべき」「現状に合わせて基準をつくったら改正にならない。一歩先に踏み出す文言にすべきだ」といった意見が出され、真っ向から対立する形となりました。 結果的には、委員長(林良博氏:東京大学教授)や環境省の事務局の方から、「この文には“実験等の目的に支障を及ぼさない範囲で”という前置き(制限)もついているし、“自然な姿勢”というのも常識的な範囲でわかるだろう。あくまで努力規定であり、文言の最後の“備えること”をもっと緩やかな表現に変える方向で、この一文は基準に入れる方向で検討したい」という仲介案が出され、時間も無くなっていたため、とりあえずその場は曖昧なまま収束となりました。 傍聴していた一市民としての私としては、「実験等の目的に支障を及ぼさない範囲で」という大きな制限までついている上に、努力規定にすぎないこの一文に対してここまで反対意見ばかり出てしまうことに、「この委員の人たちは、本気で動物の苦痛の軽減を考えるつもりがあるのだろうか」と、また不信感を募らせてしまいました。 幸い、今回は委員長や環境省の事務局も、反対意見にただ押し切られるのではなく、「このくらいの一文は入れた方が良いのではないか」という立場を何とか維持してくれたので、少しは希望を感じられました(それでも、研究者の方々の反対意見は退けきれず、もっとゆるい文言になりそうですが…)。 以下は私の感想です。 確かに、動物たちがもう少し自然に動けるようなスペースを確保するのでさえも、現状がその実態からはほど遠いだけに、その実現は当事者の方々にとっては容易ではないかもしれません。 しかし、この会議での発言からは、頭から無理と決めて努力を回避し、現状改善を阻止しようとさえしているような印象すら受けました。 上記の一文に書かれたことは、それほど目くじらを立てて反対するような内容でしょうか? むしろ、動物たちに実験の被験体となることを強い、さらにはその命さえ奪っている私たち人間として、最低限なすべきことではないかと思えてなりません。 研究者の方々は、そうした努力はしていると反論なさるかもしれませんが、こうした会議での発言や態度を見る限り、そうした部分は一般人の私には伝わってこないというのが事実なのです。 来年、1月初旬~2月初旬頃にかけて、当基準に対するパブコメの募集も行われる予定ですので、上記の一文が削除されぬよう、意見を送りたいと考えています。 なお、これも大変残念なことなのですが、改正素案でも、従来通り、畜産動物の実験についてはこの基準の適用除外とされてしまいました。 獣医学部などでは動物実験が多数行われているのが現状であり、そうした獣医学部などの実験動物に対してもこの基準がきちんと適用されるように、意見を伝えていきたいと考えます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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