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カテゴリ:仕事と人間心理
これを、私たちデモンストレーターの仕事にあてはめて考えると、こうなる。
なる通説は、医師や溶接工などの職人的な技をも要求される仕事においては正しくとも、芸能人に代表される、多分に感性的要素を持つ仕事には、必ずしも正しくない。 ぶっちゃけ、素人でもよく、場合によってはそちらの方が新鮮味があって、むしろ(仕事に)こなれていないぶん、素人であることが個性になったりする。 私たちデモンストレーターの仕事も、実はこの後者とクロスする部分が、とても大きいのだ。 プロであることは、メリットであると同時にデメリットにもなりうるのだね。
現在65歳の私が15か16歳の時だったか。某民放テレビ系のホームドラマに出演していた浅田美代子が、シングル盤をレコーディングし、歌手としてもデビューした。
それでも、彼女が歌う「赤い風船」は大ヒットした。 なぜか? 愛くるしいルックスも含め、彼女が聴衆の共感を得ることに成功したからである。
そのせいだろう。ステージで少し硬い目の笑顔でたどたどしく歌い、やはりたどたどしくフリをつけながらも、時折り、 「私、このまま歌い切れるのかな」 みたいな不安気な表情を浮かべることがあった。 これが、聴衆の心をとらえたのだ。
「美代子ちゃん、がんばれ」 「一生懸命に歌えば、それでいいんだよ」 「美代子ちゃん、応援しているからね」
「さすが、ひばりさん」 「歌謡界の女王だわなあ、この歌いっぷりは」 と、聴衆の共感を得ることには長けている。 要は、歌う側と聴く側が同じ時間と空間と感情を共有していること。 これなのだ、共感は。
お客さんから見ても販売の素人ではあるが、それなりに精一杯にやっている。 「ようやってはるなあ。めちゃ高いもんやなし一個ぐらい買うたろやないか」 となり、反対に達者なセールトークを披露されても、お客さんは 「うまいこと言わはるなあ。敬意を表して、一個買うわ」 となる。 どちらも、お客さんと販売員との間に「共感」が存在している。
お客さんの共感を得る。 すべての販売は、ここから始まる。
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最終更新日
2023.01.08 13:44:33
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