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カテゴリ:本と映画
「30の発明からよむ世界史」の中に、我が故郷、岡山出身の浮田幸吉(写真はその記念碑。Wikipediaより)が紹介されていて、懐かしさでいっぱいになった。 浮田幸吉。世界初の飛行に成功したライト兄弟より118年も前に、滑空機(グライダー)によってではあるが、まさしく「空を飛んだ」男である。 私は、小学校5年生の時、定期購読していた学習誌で、彼のことを知った。 手先が器用で、腕のいい表具師となった幸吉は、実はとてつもない夢を内に抱いていた。 「幸吉っつぁん。何をポケッと考えごとをしとるんじゃ?」 ある時、仕事仲間の1人が尋ねると、幸吉は答えた。 「うむ。鳥のように空を飛びたいと考えとる」。 周りは大爆笑。が、幸吉にとっては大真面目。その証拠に、仕事の合間には近くの寺の境内に行ってハトを捕まえ、その身体のしくみや羽と胴体の重量バランスなどを研究していたそうな。 かくして、試行錯誤の末、竹と紙と布で作った手製のグライダーが完成。1785年、旭川にかかる橋の欄干から飛び立った。 夕涼みをしていた住人たちは、空を舞う人間の姿に腰を抜かさんばかり。すぐさま役人が駆けつけ、幸吉は牢に入れられたあげく、人を騒がせた罪で岡山を追放されてしまった。 とは言え、あの封建時代に、当時では荒唐無稽以外なにものでもなかったであろうことに熱心に取り組み、行動に移した人間が、実際にいた。 何だか、救われる気持ちになるんだな。 そもそも、発明とか発見とかには、こういう子どもじみた愚直さも必要とされるんじゃないかしら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.01.28 20:54:04
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