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カテゴリ:仕事と人間心理
今年初めに仕事に入った店舗で、我がデモンストレーション場所の斜め向かい側に立っていた、他社の同業者。紺のエプロンに同色のバンダナ姿の、一見、どこにでもいるおばさんで、とある健康食品をデモしていた。 おばさん、だが、実に販売がうまい。試食されるお客さんとの対話の中でお客さんが抱えている課題や要望を巧みに聞き出し、理と情のバランスが絶妙にとれた、見事なアドバイスをして、高確率で売上に結びつける。 お客さんの流れが途切れた時、私は思わず話しかけていた。 「おねえさん、上手に売りはりますねえ。セールストーク、ホンマ、お手本にしたいですワ」。 直後、驚いた。エプロンから取り出して渡された名刺を見れば、おばさんは、そこの健康食品会社の取締役社長だったのだ。 何でも、子どもさんの1人がすべてに過剰反応を示す体質で、それをきっかけに健康や栄養に関する勉強をし直し(おばさんは医療系学部の出身)、その結果として起業したと言う。 「デモンストレーター派遣会社や自社の営業員にもデモをお願いして、報告書は詳細に目を通させていただいています。それでも、自ら店頭に立ってみないとわからないこともある。だから、時々、こうして販売のおばちゃんをするんですよ」。 えらいねえ。 宣伝販売業界に限らず、日本の企業の大半はまだまだ昭和なおっさんか、その昭和なおっさんの精神構造や行動様式をなぞっただけの「オス化した女性」が仕切っていて、そんなタイプはややもすれば数字だけで物事を判断し、効率化重視のマーケティングに偏るんだが、、、こういう、自身の等身大の生活の中からビジネスを生み出し、効率だけではないモデルを作り出す。 そんなしなやかな経営者。もっと出てほしい。
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最終更新日
2023.06.03 23:10:58
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