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カテゴリ:仕事と人間心理
デモンストレーターになって2年目、すなわち「駆け出し」と呼ばれていた頃、主に大阪中部から北部のスーパーやデパートで広く見かけた、黒眼鏡の試食魔がいた。
デモを実施していると、黒眼鏡をかけ、カートにヘルメットを乗せた30代から40代の中肉中背の男がいつのまにかスウッと寄ってきて、半端ない量の試食品をただガツガツと食べていくのだ。 「少しココロをやられている。刺激せん方がエエよ」 と店の人。なんでも、毎朝バイクで「出勤」し、行動可能な範囲内にあるスーパーやデパートの試食をすることを「仕事」としている人物なのだと言う。 それでも、某大手メーカーの専属デモンストレーターだった同業のおばちゃん(当時50代後半か、せいぜい60代前半)が、ある時、男に尋ねた。 「あんた、トシ、幾つや?」 「42」 食べながらボソリと答えた彼を 「まだ若いがな! こんなことするトシかいな!」 と、おばちゃんは一喝。説教モードに転じた。 「ちゃんと仕事をし! 42やったら幾らでも(仕事は)ある」。 あれから20年経った現在、あらためて感じるのだ。 試食魔と販売員との、こういうやり取りは大阪ならでは、だとね。 ちなみに、くだんの男は、そのおばちゃんに説教された後も数年間は相変わらずの試食魔として見かけたが、やがて姿が消えてしまった。 亡くなったのか? いや、おばちゃんの説教に従って「ちゃんとした」仕事に就いたのか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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