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カテゴリ:なんでもレヴュ~
1972年公開、時代設定は1930年前後? もちろん名前は知っていたけど見たこと無かった映画。 女優になる事を夢見る、ドイツの小さなキャバレーのスターと、イギリスから来た青年の恋愛の話を中心に、二人の間に入ってきた邪魔者の金持ち、ユダヤ人の友人二人、そしてじわじわ生活に入り込んでくるナチス政権。 なんか、何を見させられてんだ?と思うんだけど、ぐいぐい惹きつけられる。 冒頭のキャバレーのシーンでのMC役の人(右)が不気味...。 いや、演者も客もバンドもみんな不気味。 見た目も化粧も劇や歌の内容もかなりアダルトな感じ、キャバレーっていうよりゲイバーのショーみたいな。下品、怖い、派手、そんなの、私、好きに決まってるじゃん! そしてライザ・ミネリの存在感がはんぱない。 これは昔から思ってたけど、目がでかい! でかいタレ目にクモのようなつけまにアイメイク。 母親があのオズの魔法使いのドロシー、ジュディー・ガーランドだけど似てないな~! 昔の少女漫画でたまに作者がデッサン間違えて、横顔の目を耳に近く書きすぎてしまうような絵がありましたがなんかそういう顔。 映画のポスターも(一番最初の写真)もっといいやつなかったん?? それとも時代と不気味さを考慮してわざとグロテスクに描いているのだろうか? ヘアスタイルもえげつない、前髪の形もだけどちゃんと揃ってないのはヘアメイクの手抜きなのか、貧乏でちゃんとした美容院に行けないとほのめかしているのか。 んで、やっぱりというか何というか、見ていくうちに彼女に魅かれていっちゃうんですよ。 あやふやでふらふらな不思議ちゃん。 奔放で無責任でわけわからん事で急に喜んだり怒って無口になったり。 ものすごく愛情深く寂しがり屋のくせにすぐ騙されて浮気しちゃう。 美輪明宏のシャンソンに歌われる恋多き悲しき愚かな女のモデルみたいな。 毎晩ステージに立って、お客と飲んで大笑いしてヘロヘロになって家に帰って泣きながら寝る、みたいなね(笑)。この女は一生幸せになれないな~という悲壮感がひしひしと伝わる。 人生はキャバレー。 暇してるなら遊びに来なさいよ。 歌に踊りに、楽しい事ばかり。 この直後に全盛期を迎えるナチスと第二次世界大戦の時代の前に激しく上がって散った花火のような物語でした。 さて。 もちろんライザミネリをあらためてググったりしてたら、彼女の母、ジュディ・ガーランドについての記事を見つけました。 ジュディは子役のご多分に漏れず、毒母に育てられたそうです。 書いたら楽天ブログではねられそうな事をたくさんされていました。 やせ薬や睡眠薬をのまされたり、役をもらうためにはイケない性癖のじじいにも差し出されたり。 あの純粋そのものに見えたドロシーもあの時点ですでにそんな地獄を見てきたんですね。 そのせいで性格も歪み、今で言うメンヘラも酷かったようで、わがまま女優だの言われ自殺未遂も繰り返し...。 ライザはそんな中に生まれ、こんな母親のせいか、早くからおませさんになって逆にジュディに母親のように愛情を注ぎ守っていたそうです。ライザは私生活でもなかなかの状況で育ったんですね。なんか泣ける。家も母が父と比べて弱い立場だったりしたけど、私は 「それはそれ、私は娘、さあ母親らしく私に尽くしなさい!」 という感じでした。守ってあげようなんて微塵も思わなかった…。 この映画の中では ええっ! というようなゲイの描写があるのですが、ジュディの父親はほぼゲイ、5人の旦那の2人もゲイだかバイだかで、あの時代にしては結構そういう事もあったし、公にもなってたんだな~と思いました。 この映画のキャバレーシーンやライザのちょっと大げさな表現は現在でも(ショーをする)ゲイたちのバイブルみたいになってるし、もうそういうセクシュアリティの事は新鮮でも何でもないんだけど、また今若いLGBTQとかが差別だなんだって大騒ぎしてて、この頃の人達の努力を無駄にしてる感じもします。 余談ですが、ブライアンのくそ真面目でお堅かった軍人のおじいちゃんは、ポップ音楽など大嫌いでしたが、(レッド・ツェッペリンはおかまだと思ったというエピソードも)ジュディ・ガーランドは歌が上手いのでファンだったそうです。ほぼシャブ漬けみたいな状態でボロボロだったなんて夢にも思わなかったんだろうな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.14 17:52:16
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