「リタリン」ください
最近、外来で「リタリンください」って言う患者さんが増えています。リタリンは、中枢神経興奮剤として主にナルコレプシー(居眠り病)の患者さんに処方されますが、日本ではうつ病への適用が認められています。(うつへの適用が認められているのは世界中で日本だけ)作用としては、覚せい剤とカフェインの中間とされていますが,覚せい剤類似物質なので、覚せい剤と同じような副作用があります。服用すると、覚醒、気分高揚、意欲増進のほかに多幸感、万能感、爽快感などが得られますが、次第に同じ量では効果が得られなくなり(耐性が生じるといいます)、服用量が増え、乱用につながります。また、この薬の効果が切れたときに現れる、疲労、脱力、不快感、抑うつ気分など(反跳症状といいます)によっても、繰り返し使用したくなり、どんどん量が増え、依存症におちいっていきます。長期間の服用により幻聴、幻視や、被害妄想、追跡妄想、嫉妬妄想など、いわゆる覚せい剤精神病と同じような症状があらわれ、疑い深い、怒りっぽい、衝動的、無気力、などの性格変化があとにのこります。そして依存からの回復後も、少量の薬の使用でも同じような症状が現れる(逆耐性現象)や、使用中止後、疲労、ストレス、アルコール摂取などがきっかけで症状が再燃するフラッシュバック現象などがおきます。僕はいつもそんな話をして「リタリン」の処方はしていません。(ただし、副作用や後遺症の出方には個人差があり、すべての人に同じように出るわけではありません)薬のことはあくまでも専門医に訊いてください。チャットなどで得た断片情報に惑わされないように!